06

部活の最中、教室に忘れ物をしたことを思い出し休憩を利用してそれを取りにいった。

その帰り、大量の花を抱えたみょうじなまえにぶつかってしまいバラけた花を拾っていると彼女は鼻血を出した。

この前、昼休みにも鼻血を出していたのに。

部室に使ってない綺麗なタオルがあるのを思い出してみょうじを置いて部室に向かった。

ついでに精市に一言言わねば。

「精市」

「なんだい?」

「少し部活を抜ける」

「………………ふーん」

「なんだ?」

「いいや。行ってらっしゃい」

俺の心を覗き込むようにじっくりと俺の顔を見たがすぐいつものように笑って許可をくれた。


それからみょうじの元に戻って手当てをした。

「鼻血には頭を高くして仰向けになるのがよいと聞くが……うむ」

なかなか止まらないのでよく聞く鼻血の対処法を試すことにした。

みょうじの頭を自分の膝にのせると驚いたように目を見開いていた。

「ふむ…これでいいだろう」

そう言うと大きな目を見開いて口をぱくぱくしだした。しかも顔が真っ赤で

「どうしたんだ?」

『あ、あの……もしかしなくても今私は柳くんのお膝にのっていたりなんかしています?』

「ん?ああ、そうだが」

『………………な』

ぼふんっ

効果音をつけるならばこれだろう。
ただでさえ赤かった顔が更に赤くなる。

「照れる必要はない、これは介抱だからな。何もやましいことはない」

『そそそそそそうですか…………そ、そうですね』

「ああ」

困ったように笑うみょうじ。
何かおかしいことがあっただろうか。

「しかし……」

『な、なに?』

「こう近くでまじまじと見てみると…なかなか可愛いらしい顔をしているのだな」

『ななななななななななな』

「大丈夫か、さっきより顔が真っ赤だが」

そう尋ねると首を縦に動かす。何だか俺がいじめているみたいだ。

「もう止まったようだな」

みょうじを起こさせて、もう一枚タオルを濡らして鼻のまわりを拭いてやるとごめんねと謝られた。

「気にするな、俺が勝手にやっているのだからな。それに言うならば感謝の方がいいな」

『あ、ありがとう』

広い集めた花を少量みょうじに渡し残りを持つと困ったように慌てだした。

『大丈夫、運ぶのは私やるから柳くん部活に…』

「大丈夫だ。精市には言ってきたし、それにまた転ばれても困るしな」

『も、もう!』

そう言って歩き出すと少し後ろをちょこちょこと着いてきた。

三年生の教室がある階にたどり着きあるクラスに花を置くとありがとうと困った顔ではなく笑顔で言われた。

「………………」

『練習あるのにごめんね』

「笑ったほうがいいぞ」

『へ?』

「今まで俺はお前の困った笑顔しか見たことなかったが、さっきの笑った顔はかなり好みだ」

時計を見ると、抜けると告げてからかなり時間が経っているようだ。

「では、俺はそろそろ部活に戻るとしよう。花を飾るのも無理はするなよ」

『う、うんありがとう柳くん』


それから部活に戻るとニヤニヤした精市とうざいくらい怒った弦一郎が待ち受けていた。

これぐらい計算内だったので弦一郎は簡単にあしらったが精市が少し面倒だった。

奏を使ってくるし。


次の日、教室の教卓の横には綺麗に飾られた花を見た。


「なかなかのものだな」


思わず携帯のカメラで撮ってしまっていた自分に少し笑ってしまった。






なんだこれ


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