12

「…………」

『…………』

沈黙。
柳くんは黙々と歩き続けている。


それにしても柳くんって声は勿論素敵すぎるけど、髪の毛をさらさらしてて綺麗。
手ですいたらきっと引っ掛かることなく通るんだろうな。

あと顔も綺麗。いつも目を閉じてて前が見えてるのからは不思議だけど、ボールを打ち返してるし。

「なにか俺の顔についているか?」

『え?』

「さっきから見上げていたからな」

『う、ごめん』

「何故、謝る?」

『見上げてたから』

「気にするな、からかっただけだから」

意地悪そうな笑顔で笑っていた。

『柳くんはデータを使ったテニスをするんだっけ』

「ああ」

『私、あんまり見に行ったことないんだけどデータを使うってどんな感じなの?』

「お前はどんな感じだと思う?」

私の質問に柳くんはさっきの笑顔のまま、質問を返してきた。

質問返しか!?

『えーと、相手の苦手なコースとかを調べてそこを狙う…みたいな?』

「まあ、そうだな。正解だ」

『なんか良くわからないけどすごいね』


相手の弱点を調べるなんて何だか大変そう。
しかもいつもノートにメモっているんだろうけど試合中はノート持って行けないから頭に入れとかなきゃなんないだろうし。

でもデータを集めるのってこっそりやらなきゃ駄目だよね。

ってことは柳くんは他校の偵察とか行ってるんだよね。やっぱりすごいなぁ


「…………ふ」

『?』

「お前は面白いな。見ていて飽きない」

『そうですか?』

「今度試合を見に来ないか?説明するより見た方がわかるだろうし」

『え、行ってもいいの?』

「ああ」

『じゃ、じゃあ、行くよ。応援に!!』

うわぁあ、柳くんに試合見に来いって言われちゃった。特に意味のないお誘いだけどすごい嬉しい。

『あ、私の家もうすぐだからここまででいいよ』

「迷惑じゃなければ家まで運ぶぞ」

『ううん、ここまで運んでくれただけで十分!ありがとう』

「なら、ここまでにしよう」

柳くんが持っていてくれた荷物を受け取ると柳くんはではなと言って帰っていった。

『ただいま』

「姉ちゃん、腹へったー」

『わかった、わかった。湊、ユニフォームちゃんと出しといてよ』

「わかってるよ」

『お兄ちゃんは?』

「風呂入ってる」

『わかった。じゃあ、ご飯作るから待ってて』家に帰ると弟の湊とお兄ちゃんはもう帰っていた。

急いですき焼きを作ってみんなで食べた。

美味しかったです。


今更なんだけど私、柳くんと結構普通に話せた!

何だか嬉しい


(お肉余ったから明日ジャッカルに差し入れに行こうかな)

(何かご機嫌だねぇ、家の姫さんが)
(なんか気持ち悪い)





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