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 思い切り頭ギシギシして変態泣き
 ボクロの怒りがおさまった頃。

「で、今日は何の用なのさ?」
 まだギシギシやられて残る頭の痛
 みと闘いつつ問う。

「あぁ、お前の顔見に来た。それと紅
 茶の新しいのを渡しにな」

「まだたくさんあるけど…ま、いいか
 わざわざありがと。そういえば今日
 部活は?」

 そう言うと忌ま忌ましそうに外を
 睨みつける変態泣きボクロ。

「…外見てみやがれ」

 カーテンを開けると…うわ最悪。
 残念なことに今日は傘がない。

「あちゃー…これは濡れて帰るしか無
 いなぁ…最悪」

「だろうな。だから送ってってやるよ
 乗ってけ」

 ん?今のは空耳かな。

「え、今跡部何て言った?キングが送
 って行く?送れ、の間違いじゃなく
 て?嘘だろこんな俺様ナルシストが
 言うわけない」

「テメェ社会的に存在できねぇように
 なりてぇのか…?」

「わ、嘘!それは困る!ただでさえ家
 は火の車だってのに…」

 返しがおかしいなんてクレーム受
 け付けない!(笑)

「…嘘に決まってんだろバーカ」

「な…!こんなとこで権力使おうとす
 んなアホベのくせに!」

「…ハッ、やっぱお前面白ぇな。俺様
 が気に入った女だけある」

 あれ、頭ギシギシされなかった。
 むしろ跡部笑ってるし。

 …てか今何て言った?
 
 "俺様が気に入った女"…?

 顔に血が昇るのが止められない。
 きっと今の私の顔はタコもびっく
 りなくらい真っ赤だろう。

 気付くとまたキングの顔がすぐ目
 の前にあって。でもさっきみたい
 にぶん殴る、なんてできなくて。
 
 直視すらできなくて眼をつぶった
 と同時に、唇が重なった。

 ほんの一瞬だけ。

 でも心臓がぎゅってなって温かく
 なっていく錯覚を覚えるキス。

 
「今度は殴らねぇんだな?
 お前の気持ちはどうなのか、聞か
 せてもらおうじゃねーの。…なぁ
 風日?」

 耳元でキングの皮を被った悪魔が
 甘く囁いた。




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