ksxx5

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notice4





予定では今日ウチに帰るはず、だ。
送ってくれるらしいけど…ヒル魔覚えてんのか?軽く腹を満たして思案する。
〜♪
そこにメールの着信を知らせる音が鳴って。
【受信メール1件】
見てみると内容から察するにヒル魔から。
6時頃帰るってのと、送るから用意しとけって。
俺ヒル魔のアドレスなんて知らねーのに。とりあえずわかったって返信した。
なんか変な感じだ。












「っ……ゃだ…」
も、また。
「…ッざけ…な……はなせ、っ!」
「…ぃ」
「―――ッ殺…す……てめ、ッ」
俺を捕まえようと、手が伸びてくる。
必死に逃げようともがいてんのに、手はどんどん近付いて。
「…おい。葉柱」
「…ャめろ…いやだ…ッ!」
「葉柱!」
「うあぁぁッ!」
「葉柱!起きろ!夢だ!」
「―やだっ、ぁぁー!!」
ジタバタと抵抗してんのにすごい力で捕らえられた。
「はな、ッ…せ…ぇ……」
「葉柱!!」
強い声で呼ばれて…。
「……………は、ァ…」
「…大丈夫か?」
「‥‥‥‥‥」
目を開ければ目の前に汗だくのヒル魔がいて、心配そうな顔で覗き込まれた。
「…葉柱」
ヒル魔は名前を呼びながら背中を摩って。
「………ん…」
息を吐いて呼吸を整える。
「―………ッ!!!」
ようやく落ち着いて来たら状況にびっくりして。
ヒル魔に抱き締められてて、しかも俺は―…
「何もしねぇよ」
ヒル魔はそう言って腕の力を緩めて放した。どうしたらいいのか分からなくて布団に包まれば、ヒル魔の気配が遠ざかった。
俺、今…何した?分かんねぇ。
いつの間にか眠っちまってて…目が覚めたらヒル魔がいて…ヒル魔、が、いて………?
―――――――!
俺今ヒル魔ンちにいんだ。で…
今日は家に戻るっつってたな…何時だ…?
少し離れた場所にある携帯に手を伸ばして………
ドスン!
…………………り?
いて…
「………おい…?」
声が聞こえて、ドアの傍にいるヒル魔がこちらを見ているのが分かった。
「…………………………んだよ」
とりあえず立ち上がってそっちに視線を向ける。
「…お前、帰るか?別にいてもいんだけどよ」
「………………かえる」
時計は6時29分を表していた。
「じゃ、制服着てけ」
「カ?」
「なんで制服ねぇのかとやかく言われてーんなら止めねぇけどよ」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
ヒル魔の厚意に甘えて、制服を着た俺は携帯と財布を持って、部屋を出た。そこには勿論ヒル魔がいて。
「………世話ンなったな…」
「ケケッ、礼はこれでいーぜ」
言ってヒル魔が親指と人差し指で○をつくる。
「カッ!金なんざ腐る程ありそうなくせによ」
「まーな」
にやりと笑ってヒル魔は車のキーを持つ。その足で玄関に。
エレベーターまではそんなに遠くなくてすぐ着いた。
狭い空間に2人だけだったけど、外の夜景を見るふりをして地下3階までを無言でやり過ごした。でもそんなには苦痛じゃなかったように思う。
問題は―――
「…乗れよ」
ヒル魔らしい赤い車。
ヒル魔が開けてくれたのは、後部座席右側のドア。意外にもすんなりと小さな黒い空間に俺は収まった。
そのまま時間が過ぎて。
あっけなく車から降りる。ヒル魔が降ろしてくれたのは家の前。
ん、と顎でしゃくられる。
「…あり、がと」
聞こえるか聞こえないかぐれーの声量で言って、俺は逃げるように家に戻った。
「ルーちゃん?」
「……ただいま」
「お帰り。ヒル魔先生に送ってもらったの?」
「……うん」
「あら残念。上がってもらえば良かったのに」
「………」
忘れてた。そんなこと考えれなかった。
「ご飯もーすぐだけど食べた?」
「…まだ」
「じゃぁご飯にしましょ」
「その前に部屋…」
なんだかバタバタしながら2階に上がる。部屋に辿り着き、ベッドに倒れ込んだ。
あーやっぱうちだー………
ごろごろしながらぼんやりしてた。そしたら眠くなってきて。
目を瞑れば信じられねぇぐらいの激痛。
男たちの卑下た笑い声。
赤く濁った白と、無機質などす黒い感覚。
「――――――――っ、は…ぁ‥‥、は……ッ‥」
息苦しくて起きれば、汗でシャツが肌に張り付いた。
…折角、家に帰って来たのにな。
とりあえず起きて下に降りたら兄貴がいた。
「久しぶりじゃけんの」
「…うん」
「飯食うてないんか?」
「…うん…でも、ぃぃ………」
シャワー浴びてから食うことにして。
「………兄貴、まだ起きてる…?」
「なんじゃ?」
「起きてたらでいーから」
久々に帰って来た自宅での風呂はヒル魔ンちと比べると、少し小さく感じた。だって泳げねーし。
でかいことには代わりはないけど…形の問題か?
すっかり消えた体の傷。
相変わらず病的な程白過ぎる肌が鏡に晒される。
「…………………」












風呂から上がれば兄貴はまだ起きてて、ツマミを肴に晩酌してた。
それに少し付き合って。
「………にいちゃん…一緒に寝てもぃ…?」
俺の口からはすらすらと言の葉が紡がれた。酔ってる。
「…前にも、こんなことがあったのう………」
懐かしむ兄貴が思い出さないうちに目を閉じた。







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