哀願
『泥門5分』
言うだけ言って切れた。まぁいつものことだけど。
でも5分はキツくないですかヒル魔さん?
それに今日は―………
「葉柱さんっ」
「…おぅ、」
久々の喧嘩。
今まで任せていたけど、とうとう頭同士までが引っ張り出される抗争までに発展した。
相手は最近頭角を表してきたとこ。面子とプライドに懸けて負けるわけにはいかなかったし。
ヒル魔には後で謝り倒す。銃で乱射されても。
電話を折り返すこともせず砂煙の立ち込める乱闘の中へ。
* * * * * *
「―――ッ、て‥」
結果は、ギリで勝った。実際ヤバかったと思う。
「葉柱さん‥、血が―」
見れば拳の皮が剥けて血が出てる。
「カッ!舐めときゃ治る、お前らこそ手当てしとけ」
ヒル魔を待たせてンだ。もう遅ぇけど行かねぇと。
携帯は見ねぇ。きっと鬼電で埋まっているから。
目一杯飛ばして泥門まで。もう帰っていねぇかもしんねぇ。
でも学ランを軽く叩いて土埃を落としてカジノと化している部室に向かう。
「悪ぃヒル魔っ!!」
ドアを開けてすぐ土下座で謝罪。みっともねぇとか言ってらんねぇ。
「‥‥‥‥‥‥」
でも中からは銃の乱射も、罵詈雑言もなくて。
恐る恐る顔を上げれば、ヒル魔はいなくて。帰ったなら鍵は開いてないはず。
「…ヒル魔…?」
一応呼んでみるが返事はない。
* * * * * *
「…ぃ、ルイ、ルーイー、ルイルイー、ルーイちゃーん」
「……………………………………………………………………………ぇ………?」
気が付いたらヒル魔に呼ばれてた。
「ったくよー鈍ってんじゃねーのお前」
ここはドコ?
何故か裸に近い程の半裸で、黒いシーツのベッドの上にいた。そして手は後ろで鎖に拘束されている。
…………………は?
「え、ちょ、なに!?」
訳が分からず上に乗っかっているヒル魔に聞く。
「ん?強姦プレイ」
平然と言って退けないで下さい。
つーかプレイってなに。
「……………まじで…?」
嘘だろ。
「まじで。よぉ〜っく思い出せ」
言われて。
えっと…確かヒル魔から携帯に連絡があって、でも喧嘩して遅くなって。迎えに来たら、部室にいなくて………?
「おー、で拉致った」
「『拉致った』…?」
「来んの遅ぇから。暇だったし」
「え…そんだけで?」
あ、しまった。思ったときにはもう遅い。
「てめぇ…下の口にマグナム突っ込んでガチャガチャいわすぞ」
「ちょ、ヤメテ…お願い」
人のケツに銃突っ込むとかどんだけサドなんだよ。
「じゃぁ取り敢えず舐めろ」
「―――ッ!…ざけんな、解け!!」
「………あんまうるせぇと足にも枷つけっぞ」
「はァっ!!!!!?」
「うっせぇ。黙れ。萎える」
言われて突っ込まれた。
「歯立てたら殺すぜ」
目の前にモデルガンをちらつかされ。
カッ!心配ならやらせんじゃねーよ。
「……ん…むぅ……ッ…ンんぅ…」
でもちゃんと舐めてやる俺って偉くね?
「…ン………。……ん…ン……っ」
手が使えないから口だけの奉仕。
「………お前真面目にやれよ。チンタラやってっといつまで経っても帰してやんねぇぜ?」
くそ…!んなこと言われてもしたことねーんだからよ!!
鎖の音が耳障りで今の状況が未だに飲み込めずにいる。
でも必死で口を使って奉仕する。歯を立てないように、慎重に。
「…………ン…………ぅ………ッ、ん…………。ん………っ……」
「………てめェのその糞長ぇのは何の為にあんだよ。舌使え」
んなこと言われても知らねぇよッ!!
「――――ッ……!」
いきなり突き飛ばされて殴られた。つい、力が入って、歯、立てちまったみてぇ…
ヒル魔のすんげー恐ぇ目で睨まれた。ついでみてぇに顔と腹にも何発か。
「…死にてぇの」
馬乗りになられてヒル魔の細くて長い指が首を締め上げる。息が苦しい。
ギリギリとヒル魔の爪までも食い込んできて。首を僅かに横に振って否定を示した。
「…………………………………………………………」
すると、ヒル魔は何も言わずに退いた。と思ったら。
カチャカチャと首回りから音がして、冷たい金属の感触。
「鍵がねーと開かねぇからな」
ヒル魔はくく…と笑って首輪に繋げられた鎖を引く。
「観念しな」
囁かれた声と共に後ろに倒され。
下半身―それもズボンと下着を下ろされた―普段なら自分でもお目にかからないトコロ―を触ってくる。
「は!?おいてめェ、何してんだ!やめろっ!!!」
「…その様子じゃコレが何か分かんねぇか」
見せられたもの。それは………
「…おい、ちょ…まじで。嫌だ、んなモン入れんなァ!!!!!」
「ケケケ。残念」
「…………………っ、ァ…!」
いって………
なんかで聞いたことある。浣腸って、肛門に水みてぇなのを入れるやつ。
「………………ん゙ん゙…っ…!!」
「だいぶ可愛いぜお前」
あっという間にくる便意。今にも吐き出してしまいそうな。漏らしてしまいそうな。
「………あ………………ぃや…だ……やだ…………っ…………………た…のむ、から……ッ…」
「それが人に頼む態度かよ」
「……………………………ッ……ぉ……ね…が、っ……………し………………ま…す……」
「何が?」
「…………………………………………と…………………………れ……に…………ッ……………………」
「よく聞こえねーな」
「……………………………と、ぃ…れ………に……………………ッか……せ…………っ………」
「別にそこでしちまってもいーぜ」
「…………………ゃ……………………………あ……………………ぉ………………………ね…………………が…………………っ………………!」
ジャラジャラと耳障りな音が聞こえる。
「我慢は身体に悪いぜ?もう出そうなんだろ?しちまえよ」
「………ぃ………あ…………………だ………………………………ャ………あ……!……………ひ……ま、………た…す…………け…………ッ………………あ、っ…ア――――――――!!!!!!!!!!」
人に、よりによってヒル魔に、見られるなんて……………最悪だ。
「……み……………んな…ァ…………………っ…………………!」
ぼろぼろと涙が溢れて泣きじゃくった。
ひでぇよ…ヒル魔………
なんで、こんな………………
「さあ。なんでだろうな?俺も分かんねーよ」
「‥‥‥‥‥‥」
「でも、お前のことは可愛いと思ってるぜ?」
ヒル魔が近くまで来て、カチっと音がした。
「逃げんなよ」
どうやら先程の音は腕の拘束が外された音らしく、手が自由になっていた。でも、その代わり、首輪に繋げられた鎖の先はヒル魔の手に。
ぐいっと引っ張られて無理矢理ヒル魔の方を向かされる。
「…ん、ン゙ンー…………っ、」
無理矢理舌を口内から出され。舌を吸われて、ヒル魔の尖った歯で噛まれた。キス、とゆうよりは、舌を食まれるような感覚。
「ンん゙っ…」
「…てめ、」
ガリッ、と歯を立てれば、パッと離れたヒル魔。
見れば唇から赤い血が出ていた。それを軽く拭うと凶悪な目付きになって。
「………いい度胸じゃねぇか…」
ヒル魔の目にゾッとした。