ksxx5


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体から


















「……………」


俺マジでやっちまった…。腰が怠い。まだ中に入ってるようなヘンな感覚。
横にはふわふわとしたシーツに挟まれてヒル魔が寝てる。
思い出さなきゃいーのにしっかりと記憶は残っていて脳内再生された。


「………ん」


意外と柔らかい髪の毛に触れると耳がピクンと動いた。
滅多に拝めない寝顔を暫く堪能してからベッドから降りて風呂場まで行く。それさえも一苦労。ヒル魔が拭いて綺麗にしてくれてたのは見て分かった。
コックを捻ってシャワーを浴びる。熱いお湯が気持ちいい。暫く浴びてから全身を洗う。
…中も。
腰にタオルを巻いただけの格好で冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して飲みながら酷いリビングの状態を見回す。
髪をタオルで拭いてからドライヤーで半乾きにする。下着を身に付けてタオルと脱ぎ散らかした服は洗濯機に放り込んだ。勝手に乾燥までやってくれるスグレモノ。空き缶は袋に纏めて散らばったカスみてーなつまみは捨てる。
一通り片してから下だけ履いてソファーに腰掛ける。
腹減ったなあ。ヒル魔んちの冷蔵庫は飲料系が殆どでほぼ空っぽだ。飯どうしてんだろうと思う。調理器具も見当たらねぇし。
確か近くにコンビニあったよな、かなり近かったから歩いても5分くらいだろ。そうあたりをつけてからシャツを着て、携帯と財布と鍵を借りて出る。
朝からコンビニ弁当を食う気になれなくてサンドイッチとパンをいくつか買って会計を済ます。
元来た道を戻ってエントランスを抜けてエレベーターでヒル魔の部屋の階まで登って鍵を開けたら目の前に半裸のヒル魔が居た。


「………ッ、!?」

「…てめ、っ」


慌てた様子のヒル魔は下を履いただけの格好で、髪もハネてる。


「勝手に居なくなんじゃねぇよ」


糞、と言いながらギュッと抱き締められたからごめん、と謝って。お前んちの冷蔵庫何もねぇんだもんと言えば昨日買うつもりだったんだよと言われた。
思えば昨日は随分と余裕が無かったように思う。


「俺のせいかよ」

「決まってんだろ」


ちゅ、とキスしてヒル魔は風呂場に向かって、数秒後にシャワーの音がした。
ぐぅ、と腹の虫をもうちょっと待てと宥めてテーブルの上に買ってきたものを出す。


「何買って来たんだ」

「…ん・っと、適当にパン系」


ぺた、と背後から密着されて答える。
つーかお前早ぇよまだ濡れてるしちゃんと拭けよ。


「お前がまた居なくなってっと困っし」


ワシャワシャとヒル魔の首のタオルで頭を拭くと幾分かは軽くなって水分が取れた。ミネラルウォーターを渡すと飲み干して飯を催促される。


「…あっためる?」

「いい」

「お前ドライヤーして来いよ。シャツ濡れる。服も着てねぇし」

「どーせまた濡れんだしいーだろ」

「カッ?」

「また起きてからすればいいから寝かせてってねだったの忘れたか」


耳元で話されてくすぐったい。


「………俺腹減ってっから飯食ってからな」


忘れてねーけど改めて口に出されると恥ずかしい。照れ隠しにサンドイッチを頬張るとヒル魔も適当に食い始めた。コーヒーを持ってきてやるとすぐに口をつけて飲んだのを見てやっぱヒル魔も腹減ってたんかな。夜食ってねーし。
俺もついでに淹れたコーヒーにミルクを混ぜてちびちびと飲む。


「早く食えよ」


急かすヒル魔に居たたまれねぇ。
ベッドのシーツ換えてぇなあ。また汚れるとしてもやっぱ何か違ぇ。


「換えのシーツどこ」

「…明日買いに行く」


その一言で今日はずっとベッドで、しかも乱れたシーツのまま過ごすと暗に伝えられた。


「………先、買い物行かねぇ?」

「あ?」

「…デート、しようぜ」


ホントはまだ痺れたようにジンジンして痛ぇから少しでも先延ばしにしてぇだけだけど。


「なあ、だめ?」


柳眉が顰められて切れ長の鋭い目が訝しげに覗き込んでくる。


「…ヤりたくねーの」

「…………まだちょっと痛ぇからインターバルください」


嘘なんて吐いてもどーせ後からバレる。酷ぇことになるならなるべく最小限に。


「飯作りてぇから材料と調理器具も買いてぇし…だめか?」

「……チッ…」


ヒル魔は苦虫を噛み潰したような顔で一言。


「…着替えてくる」

「……おぉ…」


コーヒーを飲み干して空になったマグを突っ返されてついでにキスして奥に消えた。
食いかけのパンをかじって腹を満たして、正直味なんか分からねぇそれをコーヒーで流し込む。


「さっさと買い物して帰るからな、車出してやる」


そう言って着替えたヒル魔が車のキーを持つ。





* * * * * *






ドアが閉まったのを確認してからキスした。そのままベッドまで来て、きちんと整えられたシーツの上に押し倒される。
結局シーツとゴムとローションしか買ってねぇ。店を出たらホテルが目に入って気付けば車の中にシーツを放っていた。食料じゃねぇしいいよな。
ホテルの駐車場で暫くキスしてから車から降りて手を繋いだ。
部屋に入るまで、部屋を選ぶときもエレベーターの中でも離さなかった。エレベーターの中で軽くちゅっちゅしてたら降り損ねそうになって慌てた。


「……なあ、脱がして。俺疲れた」


ヒル魔の首に腕を回してそう言う。これからまた疲れるようなことをしよーとしてんだ。こんくらいのワガママいいだろ?
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