ksxx5

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虜2





「おいあれ…美里じゃねぇ?」

「マジだ…可愛い…」


周りがざわざわして美人顔の高校生が足早に通り過ぎた。かと思えば駆け出して、何となく目が追う。


「遅れてごめんなさい」


女子高生がスーツの男に謝ってる。


「おい」


聞き覚えのある鋭い声。


「帰るとこなんだよ」

「ごめん"ヨウイチ"」

「チッ、外で会うもんじゃねーな。さっさと帰んぞ」


声の主と女子高生が並んで歩いて行った。こっちには気付いてなかったみてー。ホッとしたような残念なような。
そのまま反対方向に歩き出す。
見たくなかったなぁ。あいつがモテんのは今に始まったことじゃねーけど改めて見せつけられると辛い。
元来た道を戻りながら電話をかける。


「…やっぱ今日は家飯にしようぜ」

『あ゙ァ?』

「俺作るし」

『もう着くんだけどよ』

「スーパー寄って行こーぜ」

『無駄足じゃねーか』

「悪ぃって。……あ」

「…ナメてんの?」

「カッ!早ぇな」

「腹減ったしな………泣きそうなのは店入ってから聞いてやるから。あのビル?」

「…隣の42階」


美味い中華。値段は高め。
結局個室に通されて阿含と向かい合って小籠包食ってる。


「阿含はさあ、なんで俺と付き合う気になったの」


高校の頃なんて俺のこと眼中にもなかったじゃねぇか。お前はヒル魔見てたしよ。


「失恋したときが狙い目って言わねぇ?」

「俺が"元"ヒル魔のもんだからじゃねぇの」

「分かってんじゃねーか」

「……分かってたけど改めて言われっと、なんかこう…やな感じだな」

「まあそれだけで何度もヤッたり飯食ったりはしねーよ、そんな暇じゃねーし。お前だって今好きなのはヒル魔のヤローなわけだろ、そんなもんだろ」

「やっぱ…そーなのかな…」

「それマジで言ってねーよな」

「……俺、お前のこと好きだったんだ」

「知ってる」

「でもお前はヒル魔見てたよな。ヒル魔は俺に執着してたみてーだったけど俺はお前が好きで。ヒル魔はそれでもいいって言ってた。それでもいいから傍に居ろ、って、言った…」

「ヤツは独占欲の塊みてぇなもんだからな、俺がお前にちょっとちょっかい出しただけでキレんだぜ。ひっでぇよなぁ」

独占欲の塊、ってのは頷ける。

「でも手放したんだ…」

俺が別れてって言ったから?飽きた?
わかんねえ…
こんな風に掻き乱されてんのはたぶんさっき見たから。

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