ksxx5

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「嘘つき」



いつも通り、部活後にちょっと待たされて、ヒル魔に送れって言われてから軽く飯食ってヒル魔んち。夜中過ぎまで膨大な書類整理と言う名のデータ管理をしているヒル魔にそろそろ終わったかなと思って仕掛けてみたらこれだ。
「おい、別れようぜ」
「…………。は……?」
ナニイッテンノ?
そんな、何でもねーみてぇに軽く…
「別れようぜ、俺ら。もう…呼び出さねーから」
は?
「…なんで……………?」
なんで………
俺がなんかしたなら謝るしっ、まじで、考え直す気ねーの……?俺、まだ、お前のこと…好き、だし…。気に食わねーことがあんなら気を付けっから…!
「……ヒル魔…」
お願い、ヒル魔…んなこと言うなよ…。
「………………」
どーやってうちまで帰って来たかなんて覚えてねぇ。奇跡的に事故んなかったのがすげぇ。
枕元のデジタル時計は2:30、いつもなら5:40に目覚ましが鳴る…けどもういらねぇ。アラームをOFFにして何も考えたくねぇから目を閉じた。
何度も頭ン中で反芻する。
「―――――」
睡魔に襲われて眠りに就く。
―ヒル魔。ヒル魔っ!
んだよ、いつもみてーに“妖一”って呼ぶ約束だろ?
いつも…?
……どした?
ん、何でもねぇ。妖一…、好き……
ケケッ、まじでどーした?
俺別れたくなんかねぇよ…
俺も離す気はねぇが?
なら……
「―――――っ」
はい夢オチ。まあそんなこったろーとは思った。
けど………
「………」
枕元の時計は5:50。いつもより10分ばかり遅い。
身体に染み付いてる生活リズム。いつもはヒル魔んとこ行って、泥門まで送って、1回帰って来てちょっと寝るのが日課。
今日はその必要がねーから思い切り寝てりゃいーのに…。
寝直そうにも起きちまって。久々の朝風呂は頭がすっきりした。
携帯を開いて見ても、何もない。
連絡しねー‥って、言ってたからなあ…。
アドレス帳の「ヒル魔」を開いてみる。通話ボタンを押そうとするけど、結局押せなくて。
切ねぇ。
でもこのまま連絡しなかったら確実に別れるだろ……?
「………。」
意を決して通話ボタンを押せばRRRR…と長い電子音の後にガチャッ、と音がして。
「ヒル魔!」
『 ‥ ‥ ‥ てめ、何出てんだよ』
後ろの方でヒル魔の声が聞こえた。
『あっ‥ちょっ‥!』
次に女の。
そのままでいたらガチャッと音がして。
プッ、ツ-、ツ-、ツ-、
切れた………?
時計は8:10。普段なら朝練が終わって部室か教室にいるぐれぇの時間。
なんで……?
しかも女の声。
もう俺とは関わりたくねぇってか。それならそうと…っ、くそ。
ヒル魔にとって俺なんてそんなもんか。でも別れて速攻女と…なんて。
昨日ヒル魔んとこを出たのは深夜、今はまだ8時間も経ってねぇ…のに…。
ひでぇなあ。
「………カッ…」
まじ酷ぇ…思ったら泣けてきて。
ベッドの中で疲れて寝ちまうまで泣いた。
だから起きたら自分が何で携帯を握り締めてたのかが一瞬分かんなかった。
起きてから洗面所の鏡で見ると、瞼が腫れぼったくなってて、目が赤くなってた。
風呂に入って顔を冷水で洗って、ワックスで髪を流してセット。長ランを羽織って最後にカモフラージュで伊達眼鏡をした。
少しはカモフラ出来てっといいけど。
午後1時。泥門の近くをなるべく通らないようにして太陽が上がった公道を走って賊学まで。
生憎、やっぱりというかイジられた。銀を中心に。放っとけよ、もう。
部活後はいつも携帯で呼び出されてた。でも今日は無い。
だから久々にみんなで流しに行った。
夜の冷たい風を感じながら飛ばす。でもその冷たさが心地良い。
「…でも、葉柱さんと走るのホント久々っすよね〜」
「……そうだな…」
殆どいつもヒル魔に呼び出しくらってたから。
帰りにロニが美味いってうるせーからラーメン屋の親父に世話になって、帰って来たのは0時過ぎ。
腹もいっぱいで、何も考えねーで寝れっかなーとか呑気に考えながら部屋の前まで来て人影があることに驚いた。
「………よぉ、」
「………」
人影はヒル魔で。
「なに…どしたの…」
「悪ぃ、」
「なん…?」
「昨日、何月何日か知ってっか?」
「は…?」
昨日は……
携帯を取り出して見ると4/2 00:35となってた。
「…4月1日?」
それがなに。
「……わかんねぇか、」
4月1日だからって………!
「気付いたか?」
「……まさか、」
「やっぱお前いねーと無理だわ。許してくれっか…?」
「………てめッ、まじで、」
「だから悪ぃって」
「俺っ…まじで悩んで…っ!」くそ…、嬉しい。
「…俺のこと、飽きたんじゃねぇかとかヒル魔の気に食わねーことしちまったんじゃねぇかとか…」
「飽きるわけねーだろ?」
「……ン、」
「まあ…気に食わねーことは無くはねぇが」
「なに、」
「…あーいいぜ。やっぱ気にすんな」
「俺に出来ることならなんでもするからっ…」
もうあんなこと言うなっ。
顔を上げればヒル魔の笑み。
「“俺に出来ることなら”“なんでも”?」
「………」
「おもしれーこと聞いたなあ」
「…や、やっぱうそ…」
「嘘は昨日までだ。今日は効かねぇぜ、…とりあえず入れろ」
そいやずっと部屋の前で…って。
「お前合鍵持ってんだろ!」
「お前がいるんだからその必要はねぇだろ?」
「…カッ…」
鍵を開けてヒル魔と部屋に入るとヒル魔がガチャッ、と後ろ手で鍵を閉めた。
「………さあて。とりあえずこんな時間までどこほっつき歩いてたか聞かせてもらおうか」
「あ…。連れらで流しに…で帰りにラーメン食って来た…」
「へー。その眼鏡伊達だろ?どした?」
「………っ。これは…」
言い淀むとヒル魔が覗き込むようにして見てきて…
「目赤ぇし腫れてる」
「カ!?だいぶ治まったはず…、ッ!」
「…ケケケ。泣いたのか、もしかして?」
「………」
「哭くのはベッドの中だけにしとけよ」
「親父」
「…あんま減らず口叩くとお仕置きするぜー?」
「…ッ、てか!ヒル魔だってっ、」
「あ?」
「朝電話したら女出たろ…、あれ何だよっ!!?」
「朝…?あーあれなあ。何、妬いてんの」
「〜〜〜誰だよっ」
「…まじか、…分かんなかったか?あれ姉崎だぞ」
「え…?まじで…?でも…」
「……疑ってんの?」
「だって…姉崎とお前って一時期そうじゃねぇかって噂あったの知ってんだろ…それに、電話取った場所が泥門とも限んねーだろっ」
「……一理ある。電話越しじゃ部室かラブホかなんてお前には分かんねぇからな。でもな、あいつが付き合ってんのは俺じゃなくて糞ジジィだ」
「…へ…?」
あの老け顔キッカー?確か武蔵って言う…
「あいつお前からって携帯の表示見ちまって…俺が出ねーから…」
「お前が出ればいーだけの話じゃねぇかっ」
「折角“別れる”ってことになってんのに声なんざ聞いちまったら揺らぐじゃねーか」
「…んだよ…それ……」
「お前がどこまで好きか知りたかったんだよ」
「……くそ…、」
「まあ…、俺の為なら何でもするぐらいには好きらしーから問題ねぇけど」
「…んなこと…言ってねぇ………」
「とりあえず昨日の続きな?」
「続き、って…」
「俺が終わったのを見計らって仕掛けてきてたろ?」
「 …… … 〜〜〜!」
「キスしちまいそうなの堪えて言ったんだからな?」
「…ッ!!」
なんだよそれ…




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