ksxx5

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pale


ヒル魔ってなんか、カッコ良い。男の俺でもそう思う。
苛立ちながらも、長くて綺麗な、整った指でパソコンを打ってるヒル魔。
見てたら、同じようにヒル魔を見てる人物が目に入った。


「ぁ」
「―チッ、いい加減うぜぇな」


気付いた瞬間、ヒル魔が立ち上がり。


「?」


マシンガンを肩にかけ、部室のドアを足で蹴開けて。



ダダダダダダダダ…



「…うぜーんだよ、てめーら。さっさと帰りやがれっ!!」


ドカーンと音がする度にヒル魔が叫んでる。
グラウンドの周りにいたのが、ヒル魔のキツイ目に睨まれてキャーと蜘蛛の子を散らしたようにいなくなる。


「…あれなに」


溜め息を吐いている姉崎。
聞けば、ヒル魔の取り巻き?らしい。


「何も銃で脅さなくてもいいのに…」


ヒル魔はあちこちで銃をブッ放してる。
それに黄色い歓声が上がり、また銃声。


「‥‥‥いつもは止めるんだけど、最近はヒル魔君も我慢してたみたいで…」


やっぱ女だから?それとも好意を持った奴には攻撃しにくい?


「…ったく、うぜぇ」


帰って来たヒル魔は心なしか疲れが見える。


「糞、帰る」


パソコンや銃をカバンに詰め始めたヒル魔。


「葉柱」
「へーへー」


促されて椅子から立ち上がり、バイクのキーを持つ。


「…ヒル魔、センパイ」
「あ゙ぁ?」


めちゃくちゃ機嫌悪ぃな。


「…………、」


何かを言いたそうにしてる十文字を置いて、部室を後にする。


「お前ンちでいーのかよ」
「あー…‥‥とりあえず、出せ」
「捕まってろよ」


相変わらずの横乗りだから声をかけて。
確認してから発進。部室前から校門を抜ける。


「チッ、」


ヒル魔の舌打ちが聞こえた。
振り返って見れば、校門のところに人がいた。様々な制服に身を包み、追い掛けて来る。


「‥飛ばせ」


ヒル魔の声と共にアクセル全開。
いつの間にか女子たちは見えなくなってた。


「………随分とまあ熱狂的なファンがついたもんだな」
「うぜぇ」
「毎日あれだと大変だな」
「だからてめー呼んだんだ」
「カ?」

どうやら、久方ぶりの電話のわけはファン対策だったようで。


「お前道覚えてンのか」


住宅街を抜けているとヒル魔の感心したような声。


「カッ!馬鹿にすんな」
「まあこれからは毎日来ンだから忘れてもらっちゃ困るがな」
「…あ?なんでだよ」
「お前あいつら見ただろ」


見たけど。


「登下校待ち伏せされてんだぞ、うぜーだけじゃねーか」
「家までバレてんの?」
「本宅以外」
「…まじかよ。つーか脅迫手帳使えねぇの?」
「数が多過ぎる」


めんどくせぇって…


「‥‥‥‥‥」
「だから当分タクシーしろ」
「…俺もう奴隷じゃねぇんだろ?」
「他の使うの面倒臭ぇし、だりぃ。お前が一番楽」


ヒル魔はたぶん面倒臭かっただけなんだろうけど。
頼られて嬉しい自分がいた。


「…カッ‥‥‥」


そろそろ、ヒル魔の家に着いちまう。


「念のため裏から行けよ」


耳打ちされて速度を落とした。このままだと、煩ぇから。
裏からマンションの地下に入り、駐車場で停める。


「…いねぇよな」


まだバックシートに乗ったままヒル魔は携帯をいじってる。


「ヒル魔」


着いたって。
言えばパタン、と携帯を閉じて降りるヒル魔。
とりあえず送り届けたし、いいよな。帰るため、再びエンジンをかける。


「待て」


それをヒル魔の声が止める。


「上がってけよ、コーヒーぐれぇ淹れてやる」


奴隷時代も、今までヒル魔の家に上がったことはなかった。いつも家の前で別れていたから。


「ビビってんなら無理に誘わねーけど」


ニヤニヤ笑うヒル魔。いつものこと。
何か知らねぇが、上がらせてーみたい。


「…じゃ、お言葉に甘えて」


ビビってると思われたくなくて余裕で返す。
ホントは内心ビビりまくりだ。なんたってヒル魔だし。


「お前も女に追っかけ回されたりしねぇの」


ああ、これのために俺を上げたのか。
ヒル魔からマグを受け取って。


「頭ンなりたてはあったな」


あんまよく覚えてねーけど。


「今はねぇんだろ」
「まーな、つーかヒル魔彼女とかいねぇの?」
「いるように見えっか?」
「んー。じゃあ作れば」


そしたらあの騒ぎも収まんじゃね?


「お前はどーしてたんだよ」
「何人か適当に連れ回してたらなくなった」
「…サイテーだな」
「仕方ねぇだろ…」


じゃねーと不公平だっつって“賊学ヘッドの彼女の座”を狙ってる女どもが煩かったんだよ。


「…ンなこと、する気も時間もねぇな」
「だろうな」
「うぜーし煩ぇし」
「なに、お前女嫌い?」
「好きなように見えっか?」
「見え、ねー‥ぇ、けど」


やっぱ年頃だし?オツキアイとかあんじゃん。


「まさかヒル魔ドーテ、いてっ」


バシッと叩かれて会話が遮られた。


「だって、女嫌いなんだろ!?気になんじゃん」
「セックスなんざ女でなくても出来んだろ」


え、まさかヒル魔…って…


「ゲイ?」
「ちっげーよ、馬鹿メレオン」
「じゃあ、何」



ガチャ、



久々、この感じ。


「‥‥‥‥‥‥‥」
「明日朝6時に下で待ってろ、間違っても前から入って来んじゃねーぞ」
「………ハイ」



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