今日は。
道路交通法を無視して深夜の道路を走る。
「―――蛭魔妖一。もういんだろ?」
「はいッ!後程当支配人がご挨拶に…「いらねぇ。来んな」
フロントでハキハキと元気よく応えるボーイにそれだけ言うとヒル魔はエレベーターに向かって歩き出した。
慌てて追い掛ける。
何かいろいろすご過ぎてついて行けねぇ。
「…ホントはもっと下にしようかと思ったんだがな」
エレベーターに二人っきり。
ドキドキする。
「…?何、が」
声が裏返りそうだ。
「部屋」
「ふーん」
「だってよ、お前我慢できねーし」
「カッ?!!!」
何が!?
もしかしてナニの話デスカ!?
「でも防音じゃねーから止めた」
「………へぇ…?」
……………防音…?
「で、どうせなら眺めのいいとこにしようと思ってな」
………あぁ、それで。
お前ってホント高ぇトコ好きだな。
「でも最上階じゃなくても良かったんじゃ…」
「眺めのいいとこでシたくね?そ・れ・に・防音だから誰にも聞こえねぇよ?お前の喘ぎ声」
「………っ」
…恥ずかしい。
「お前声でけぇんだぜ?イくときは特に」
今なら恥ずかしくて死ねるかも。
ぜってぇ顔赤い。
「…まだ着かねぇから、ちょっとアソブか?」
「…ャ…誰、がッ……」
「お前。つーか硬くなってんじゃね?」
ヒル魔の指先が尖端を掠めた。
「ちょ、触んなっ…ン」
「えっちだな、ルイは。今日はいっぱい出そうな?」
宥める様に言われて。
実は結構辛かったりする。
だって1週間シてねーから。
誘っても。
強請っても。
ヒル魔は手を出してくれなかった。
だからここに来てからヤベぇの。
早く、抱いて。
お願い。
ヒル魔。
俺やっぱり我慢出来ねぇかも。
「ね…」
立ったままゆっくりヒル魔の太股を撫でる。
ヒル魔はただ口唇を歪ませるだけ。
「…外見てみろよ」
「………ウン…」
促されて。
ゆっくりと上に向かうエレベーターは外の夜景を綺麗に魅せて。
どちらからともなく口付けた。
最初は啄むようにして軽く。
徐々に激しさを増して。
唇に吸い付いて舌を絡めた。
「………ん……、…………ンん…。………、っ……ん……」
ヒル魔の指が髪に差し込まれ、乱された。
俺もヒル魔に腕を回して。
もっと…
思ったところで唇を離されエレベーターが止まった。
「…着いたぞ」
「ッは…」
「ケケッ、立てるか?お姫様?」
手を差し出すヒル魔が楽しそうに、でも意地悪く笑っていた。
離された躯は大理石の床に沈んでしまって。
このまま、ここで。
コトに及びたい。
そんなことを考えてしまうぐらい、躯は熱くなっていた。
ハヤク。
思いながらヒル魔の方に手を伸ばした瞬間。
「…!!!!!?」
ぐいっと引っ張られて。
足が地につかず、躯が宙に浮いていた。
「カァアアッ!?」
わけも分からず藻掻けば。
「暴れんな。落ちてぇのかよ」
上からヒル魔の声がして。
俺は…
所謂、お姫様抱っこ、を、されていた。
「―――…ッ離せ!自分で、歩けるっ!!」
「今更恥ずかしがんなよ」
そうは言ってもさっきまでとは次元が違う。
「…誰もいねぇんだからよ。俺たちだけだ」
そんな顔で、そんなこと、言われたら。
大人しく黙るしかなくなる。
結局そのままの状態でエレベーターから出てしまった。
ほんのりと。
やっぱりヒル魔って鍛えてるんだなぁ、ってどきどきした。
「―鍵出せ」
ヒル魔は俺を抱えているから両手が使えない。
降ろせばいいのに。
でも、口には出さずにさっき貰ったカードキーで鍵を開けた。
うわ…
すげ。
中まで入ってヒル魔に降ろしてもらった。
「…きれー」
大きな窓から見える夜景。
遠くのネオンがキラキラしている。
「ひるま!ひるま!!」
「なんだよ」
「すげぇきれい!こっちきて」
窓に張り付いて言ったら漸くヒル魔はこちらに近付いた。
「やっぱ此処にして正解だろ」
後ろから低めに言われて。
「ん…」
自然、甘味を帯びる声。
躯全体が性感帯になったみたいに疼く。
「―――もぅ……シて………」
「ケケッ、我慢出来ねぇのかよ」
「んッ…早く」
もどかしくなってヒル魔に躯を擦り寄せた。
「えっちな姫様だな」
言いながら上着を後ろに落とされ。
「なッ、だよ…それ…ン!」
シャツを捲られ、素肌にヒル魔の細く長い指が触れる。
「今日はお前は姫。だから全部言う通りに動いてやるよ」
上半身を晒され、突起を掠られ、腹筋をなぞりながらヒル魔は下に向かう。
途中途中に吸い付いて痕を残しながら。
「は…?ッ」
手早くズボンと下着を脱がされて声が漏れた。
…もうデカくなってる。
「だからなにして欲しいのか言えよ。じゃねーと動かねぇぜ?」
そこまで言ってヒル魔は行動を止めた。
目の前には…アレ…が、あんのに。
「なんでッ…」
触って欲しいのに。
「好きなことしてやろーと思って、な?なに、して、欲しい?」
ヒル魔は立ち上がって。
つ…と細い人差し指の先で下唇をゆっくり撫でた。
口の中で舌先がピクリと反応をみせた。
同時に掌はしっとりと汗ばんで。
思わずギュッと握った。
「早く言えよ…」
言いながらヒル魔は人差し指だけで唇を弄ぶ。
上唇と下唇をいったりきたり。
少しだけ奥に入れて歯を撫でる。
「言わねぇの…?」
ねっとりと濃厚な空気が俺を包んで離さない。
既にそれだけでイってしまいそう。
上唇を撫でるヒル魔の指はそのままで口を開いた。
「………………抱い、て…」
言った瞬間に指が歯を抉じ開けて口内に入った。
ヒル魔を見やればニヤリと笑っていて。
俺は特有の舌と唾液とを絡める。
そして丹念に、丁寧に、ヒル魔の指がべとべとになるまで舐めた。