ksxx5

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にゃんこ。



ピンポ―――…ン

突然の来客の合図。
微睡む中、まだ薄暗い部屋を見て夜明け前だと感じる。
こんな時間に誰だ。

ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピン ポォ―・・・ン

ベッドの中で寝直そうか迷っていたらけたたましく鳴る呼び鈴に脳が叩き起こされた。
………ヒル魔か阿含か。
どちらにしろ早く出ないと大変なことになる。
温かいベッドから出て寒い空気に触れた。
早くベッドに戻りてぇ。
思いながら急いで玄関に向かう間も呼び鈴は激しく鳴り続けていて。
更には。

ドンッ、ドン、ドン、ドンッ

すっげ叩かれてる。

―ガチャッ

「遅ぇ」

ドアの前にいたのはヒル魔だった。

「どうし…」

たんだ、とまでは言わせて貰えずヒル魔は自分の家のようにスタスタと寝室に一直線。

ピッ

ピッ

暖房とストーブをつけてヒル魔はジャケットを脱いでシャツ1枚で俺がさっきまでいたベッドに潜った。

「1時間経ったら起こせ」

時計を見れば5時10分。
6時10分に起こせってこと?
俺が本来起きたい時間と4時間ばかり違う。
もしかして寝れない感じ?
ちくしょう。
携帯に不在着信が何件か。
勿論ヒル魔。
寝てんだもん。
気付かねぇって。
炬燵に入って、瞼が落ちないようにテレビの音量を小さくして見ていたら。
いつの間にか6時10分を過ぎていた。
慌ててヒル魔を起こしに向かう。
布団から覗くヒル魔の耳がときどきピクッ、ピクッて動く。
面白ぇー。
暫し眺めていると。

「…………。……ふぁっきん」

寝言なんて珍しい。
しかもふぁっきんて。
………じゃなくて。

「ヒル魔っ、ヒル魔ッ!起きろ、って」
「…………ぃ…」
「!」

今…
ルイって言った?
気のせい?
でもそう聞こえたんですけど。
わたわたして時間が過ぎて。

「―――…ファッッッッッッッキン!」

ダラララララ…

起き抜け一発目に連射はヤメテ。
ヒル魔が起きたのは6時28分。

「糞バカメレオン!てめぇもっと早く起こせっつったろ!!」
「だって…」
「あ゙ぁ!?だってもくそもねぇんだよ、糞!」

そんな怒んなくてもいいじゃんね?

「あ゙ー俺。今日は出ねぇから」

言って携帯を閉じるヒル魔。
多分泥門の誰か。

「ヒル魔…さん?」
「てめぇのせい」
「…バイクで送っても間に合わねぇ?」
「お前見てたらンな気起きねぇよ」

それどーゆー意味?

「…寝直すか」

一旦ベッドから出たもののすぐにUターン。
俺も寝たぁい。

「………ふ、ぁあ〜」

欠伸出た。
ケケッとヒル魔に笑われて。

「…来いよ」

ベッドの隣をポンポンと叩いて甘いお誘い。
俺のベッドなんだけど。
まぁいいや。

「…ん」







リリ…ッ、ガシャン!







「ん…」
「おはよう、ルイちゃん?」
「―――…………………………!!!?」

寝ぼけ眼のままベッドから起き上がって目覚まし時計を見れば無残な姿になっているのが見て取れた。
携帯を開けば。

11:52

大 遅 刻 。
特に誰も文句言ったりはしねぇけど。
けどさ。
なんか自己嫌悪。

「おいコラ。てめぇ」

なんでまだいんの?

「…ヒル魔。学校行かねーの?」
「さぁな。お前次第?」

細い指で的確に腰骨を撫でられ。

「…っ、ん…」

あ、ぶ、な…
危うく嬌声みたいなのが出そうになって堪えた。

「な、にすんだ!」
「ナニ」
「カッ!!!?」
「イイコトしねぇ?」
「…しねぇ」

うん、しねぇよ?
しねぇ。

「別に休もーがナニしよーが誰も文句言わねぇだろ?」

《何》が《ナニ》に聞こえたのは気のせい…だと思いたい。

「そ、だけど。ヒル魔だって…」
「俺にンなこと言える奴なんていねぇ」

…確かに。
しかも授業とか…コイツにとっちゃーあってもないようなモンかもしんねぇ。

「でも部活は」
「そんなにヤんのかよ」
「?」

疑問符を投げたら、ニヤリと意地悪く笑って。

「5時間も6時間もしてぇの?」
「…!!」

もう、やだ。
今絶対顔赤い。

「悪ぃ。んなにデキねーかも」

真剣味を含んだヒル魔の声が更に拍車をかける。

「………顔上げろよ」
「…………」

誰が、上げるもんか。

「しゃぁねぇなぁ」

くくっ…と笑う音がして。

ちゅ

頬っぺたにキスされた。

「…ぇ、ぇ…?」

なにこの軽いやつ。
いつものヒル魔ならねっちょりこれでもかってぐらいしつこくすんのに。
しかも頬っぺた。
口じゃなくて頬っぺた。

「お前今すんげぇ可愛いぞ」
「…カッ!!」

バサッと布団の中に潜った。
これでよし。
これなら手出し出来ねぇだろ。
チョッカイかけられる心配もなし。

「ケケケケケケ!」

ヒル魔の笑い声が聞こえてベッドが揺れた。
む。
なんだよ。

「お前ばかだろ。それじゃあどこも行けねぇじゃねーか」

…あ。
確かに。

「うっわ腹痛ぇー」

相変わらずヒル魔は笑い転げているようで。
ベッドが揺れっぱなしだ。

「―おい。いい加減出て来いよ」

しばらく経って。
漸く落ち着いたヒル魔の声がしたのと同時にパンパンと布団を軽く叩かれた。

「…………」

返事も身動きもせずにいると。
ギシ…とベッドのスプリングが鳴って、ヒル魔がベッドから降りた気配がした。
諦めた…のか?
分かんねぇ。

「………ッぁ?!!」

気を抜いた瞬間にビクリと躯が震えた。

「甘ぇんだよ」
「っん!ひ、ぁ…」

布団に潜り込んだヒル魔の手が脇腹辺りを弄っている。

「…んん!ッ…ひゃ、め…ャめっ…」
「おーおー、にゃんにゃん言ってて可愛いな」

言ってねぇ!って言いたかったんだけど。

「…ぃ、ッひぇ…ね…ェ……っ」

涙出てきた。
こしょがしいんだって。

「…ッひゃ、め!りょ…っ………ひぁン!!!」

ピタッ…とやっとヒル魔の手が止まって。

「はぁ…」

なんか体力消耗した気分。

「…お前な。ひぁンはないだろ、ひぁン」
「…………お前がしたんだろ」
「にゃんにゃん言うからだろ」
「…言ってねぇ」
「試しに《にゃぁ》って言ってみろよ」
「なんでッ…」
「言えば分かっから」
「何が分かんだよ?」
「早く言えよ」
「…………」
「…ブッ殺されてーの?」

ジャキン!て構えないで下さい。
つーかなんでこんなことで言い争ってんだ、俺ら。

「…言わねぇんなら………」

こっち向けないで。
オネガイシマス。

「…言う!言うから!ヤメテ」
「もたもたしやがって」

……………渋々。

「……………にゃ、にゃぁ…?」
「〜〜〜〜〜〜ッ」

恥ずかしかったのにノーリアクションかよ。
しかもなんか下向いちまったし。

「…………おい?ヒル魔?ヒル魔?」
「……………………………糞」

なんだってんだ。
言ったぞ?

「ヒル魔ぁー」
「糞!お前可愛すぎんだよ!!」

ガバッ!と起き上がったヒル魔さん。

「…ぇっ…え!!?」
「…ヤるぞ」

言うんじゃなかったーorz
直視できねぇ。
そして気付けば上から押さえ付けられてた。
勿論逃げれない。

「………んっ…」

ヒル魔の唇が降ってきて。
いつも通りのねっとりしつこいキス。

「っ………ン、ふ…」

俺ってこのまま流されんだろーな。
なんたって自分から舌を絡めている時点で抵抗できてねぇ。
しょーがねーだろ、そんな風に躾られちまったんだからよ。



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