シャワーで先輩の身体を丁寧に洗っている時、全裸でしおらしくしている先輩を見ていると無性に悪戯したくなってきて、僕は萎えた先輩のペニスにそっと触れました。

「…っ!何してんだテメェ!!」

「うるさいなぁ。大人しくしないと潰しますよ、先輩の可愛いおちんちん」

「ひっ…!!」

さっきまでのしおらしさは何処へやら。急に陰茎を握られ、腰を引きながら怒鳴った先輩の真っ赤な顔は一瞬で真っ青になります。赤くなったり青くなったり面白い人です。
先輩が恐怖に動けずにいるのをいいことに僕は先輩のペニスを揉んだり扱いたり思いつく限りの刺激を与えましたが、先輩のペニスはまったく反応しません。先輩は他人に自分の急所を鷲掴みにされる恐怖に震え、嗚咽をあげながら固く目を瞑っています。

「うーん…まあ、いいや」

きっと初めて男に触られるせいで緊張しているのです。僕が先輩の初めてを奪っていると思えばこの反応も悪くありません。時間は沢山あるのだから、ゆっくり拓いていけば良いのです。
僕は一旦浴室から出て脱衣所に用意してあった剃刀を手に取ると、おそるおそる僕の行動を見つめていた先輩に見せてあげます。刃物を手にした僕が怖かったのでしょうか、先輩が小さく悲鳴をあげました。

「そ、そんなもんっどうするんだよ…」

「先輩、いい子になりますか?」

「お、お前、俺を殺すつもりなのか?」

「だから、いい子になりますか?」

「俺、あ、謝っただろ?頼むから、」
「いい子になるかって聞いてるんですよ!!」

再び先輩が悲鳴をあげました。僕としたことが先輩に大声を出してしまうなんて。しかし、効果は覿面だったようで、先輩は青白い顔で必死に首を縦に振っています。自分の身体を守るように小さく丸まっている先輩は何だか女の子みたいで可笑しいです。
僕はやめろ、とか許してくれ、とか叫ぶ先輩に剃刀片手に近づくと、その剥き出しの股間に剃刀を押し当てました。

「ひぎゃっーーーーーー!」

ペニスを切り取られるとでも思ったのでしょうか。先輩は股間を凝視するように目を剥いたまま、失禁しました。じょろじょろと鈴口から尿が零れ、浴室に独特の臭いが立ちこめます。

「あーあ、先輩ってばまたお漏らしですか?」

「あ゛…あ゛…お、ねが…やめ、」

「うーん…何か勘違いしてません?」

先輩の可愛いペニスを切り落とすなんて勿体ない事するはずないでしょうに。
僕は先輩の恥骨に押し当てた剃刀をそのまま真っ直ぐ下に滑らせました。ジョリ、と毛を剃る音と共に、毛に隠されていた生白い肌が顔を出します。ショックのあまり呆然とした表情で固まっている先輩を余所に、僕は先輩の陰毛をすべて剃り落としてあげました。

「ふふ、可愛くなりましたね」

先輩の毛のない股間は絹のようにすべらかでした。剃り跡が少し青くなりましたが、子供みたいに可愛い股間です。にっこりと笑顔を湛えながら股間を撫でる僕を先輩はわなわなと顔を震わせながら見つめていました。喜んでもらえたようで僕も嬉しいです。

「さて、風邪ひくといけませんしあがりましょうか」

そう言って浴室の扉を開けた時でした。先輩は瞬時に立ち上がると驚く僕にタックルを食らわせ、走って逃げたのです。僕は倒れた際に鼻を強く打ち、鼻血を出してしまいました。まったく、乱暴な恋人です。
先輩が逃走してしまいましたが、慌てることはありません。この部屋の玄関の扉は僕の指紋で開くタイプのものに交換してあるので、いくら脱走を試みようと先輩はこの部屋から出られないのです。
僕は脱衣所で濡れた身体を拭き着替えると、こんな事もあろうかと着替えの中に忍ばせておいたスタンガンを手に取りました。

「どうなってんだよ!何で開かねぇんだ!クソ!!!!」

ガン!ガン!と先輩が玄関の扉のノブを力任せに揺すっています。僕はドアを開けようと必死な先輩の背後にそっと忍び寄り、その背中にスタンガンを思い切り打ち付けました。

「がっあ゛ッーーーーーー!!!!!」

先輩は一瞬時が止まったかのように身体を硬直させると、白目を剥いてその場に倒れ込みました。床に倒れた先輩を見て僕はやれやれと溜息を吐きます。全裸で外に出るなんて変質者として通報されたかったのでしょうか。変な人です。

「馬鹿だなぁ先輩」

そういうところも大好きなのですが。
僕は全裸で失神している先輩をずりずり引きずって再びベッドに繋ぐと、初日の夜のように先輩の寝顔を堪能して過ごしました。




「てめぇいい加減にしろよ!外せ!家に帰らせろ!!!!」

目が覚め自分が拘束されている事に気付いた瞬間、先輩は唾が飛ぶ勢いで叫び始めました。僕としてはもう少し可愛く起床してほしかったのですが、先輩は情緒不安定なので少しは大目に見てあげなければならないでしょう。

「せんぱーい、全裸で外に出ようとするなんて意外と大胆なんですね。僕びっくりしちゃいましたぁ」

「うるっせぇ!!!何で開かないんだよお前何かしただろ!!!!」

がっしゃんがっしゃん手錠とベッドを繋ぐ鎖が音をたてます。鎖の方がエロティックで良いと思っていましたが、こうも煩いと考え物です。
先輩は相変わらず鼻息荒く、興奮で我を忘れて叫んでいます。

「開くわけないでしょう普通に考えて。あの扉は僕の指紋がないと開かないようになっているんですよ。どうします?先輩。今度は窓ぶち破って逃げます?ここ6階なんで多分死にますけど。」

「うるせぇえ!!!ここから出せよ!!!これ外せ!!!!出せっつってんだよおおおおおお!!!!」

先輩は興奮のあまり冷静な判断ができなくなっているようです。ここから出たところで行く宛もなければ、待っている人もいないのに。

「出てどうするんですか?帰る家もないのに」

僕のその言葉に暴れていた先輩がぴたりと動きを止めました。憎悪と憤怒が一緒になった瞳で僕を見上げます。噛み締めた唇から一筋、鮮血が流れ落ちました。

「殺す、殺す、殺してやる、絶対殺す…!」

先輩は僕が思っている以上に頭が悪いようです。大人しくしていれば僕も先輩も嫌な思いをしなくて済むのにどうしてこんなにも聞き分けが悪いのでしょう。
殺すなんて許し難い言葉です。少しきつめにお灸を据えてやらなければなりません。脱走しようとした事を大目に見てあげようと思っていましたが、前言撤回する事にしました。
きっと先輩は興奮したせいで見境がつかない状態なのです。そうでなければ恋人の僕にこんな酷い事を言うはずありません。頭を冷やしてもらわなければ。

「おい!どこ行くんだよ!!外せって言ってるだろ!!おい!!!!」

先輩が何やら叫んでいますがもう知りません。甘やかしてばかりいるのが良い恋人ではないのです。

10月7日

僕は家を出て、そのまま丸二日あの部屋に緊縛されたままの先輩を放置しました。排泄はその場ですればいいし、食事がとれなくても二日じゃ死にません。
その間僕はネットカフェで漫画を読んで楽しく過ごしました。暇を潰すのにもってこいなのは勿論のこと、食事もとれるしシャワーも浴びる事ができるネットカフェは素晴らしいです。

「先輩どうしてるかなー」

二日経って家に戻った時、部屋の中は物凄い事になっていました。凄まじい臭気の中、汚物にまみれた先輩がベッドの上でぐったりしています。
たった二日で先輩の目の下にはどす黒い隈ができていて、憔悴しきった様子で四肢を投げ出しています。げっそりと窶れた先輩は死んだ魚のような目でぼんやりと壁を見つめていましたが、僕の姿を確認すると顔をくしゃくしゃにして泣き始めました。

「ご、ごめんなさい…ごめんなさ、おれがわるかったですっ、ごめんなさいぃ、し、死にたくないっ死にたくない…!」

大も小も漏らして下半身をドロドロにさせたまま掠れた声で必死に謝ってくる先輩。とても反省したのでしょう、何度も何度も壊れたように謝り僕に許しを請うてきます。

「ちゃんといい子にします?」

「するっするから、み、水…!水くれ、死ぬっ、」

「僕の言うこと何でも聞いてくれますか?」

「聞くからぁっ水、の、喉かわいた…!」

よっぽど喉が乾いているのでしょう。必死すぎて僕の言うことをきちんと理解しているのかよくわかりません。正直部屋が臭くて適わないのでまずはお風呂に入れたかったのですが、僕は冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出し先輩の手の拘束を外すと、長時間飲まず食わずで放置されたせいでまともに動けない先輩を抱き起こしてあげました。
水を差し出すと先輩は物凄い勢いでそれを飲み始めます。大きく上下する先輩の喉が何だか扇情的で僕はその様子を静かに見つめていました。
500ミリのペットボトルを一瞬で空にした先輩は、大きく息を吐くと安心したのかぐずる赤ん坊のように泣き出しました。

「う゛、ひぐっ、ぅう゛、グスッ」

先輩は泣き虫です。せっかく飲んだ水をすべて涙として出してしまうつもりでしょうか。子供のように泣く先輩が少し可哀想になった僕は優しく接してあげることにしました。人間鞭ばかりじゃやっていけませんものね。

「先輩、もう僕を怒らせちゃ駄目ですよ?」

先輩のキラキラ光る傷んだ金髪をそっと撫でてそう言うと、先輩は小さく頷きました。二日前までの態度が嘘のようです。きっと僕がいなくて寂しかったのでしょう。先輩はやっぱり可愛いです。
僕は先輩の手に再び手錠をつけると、脚を拘束していたベルトを外し先輩を抱え上げ浴室へと向かいました。先輩はされるがまま大人しく浴室の床にぺたりと座っています。二日ぶりに見る先輩が何だか小さく見えるのは何故でしょうか。僕はシャワーのお湯が先輩の汚れた下半身に当たるように固定し、一旦浴室から出ました。

「部屋片付けるんでちょっと待っててくださいね」

先輩は何も反応しませんでしたが、気にしないことにしました。
僕は汚れた服を脱ぎゴミ袋に入れると全裸のまま部屋に戻って窓を開け、汚れたシーツを防水シートごとゴミ袋に突っ込みました。廊下に積んである段ボールから新しいシーツと防水シートを取り出し、ベッドメイクを済ませば完成です。これでまた清潔なベッドに先輩を横たえさせる事ができます。
浴室に戻り、人形のように床に座ったままの先輩の身体を丁寧に愛情を込めて洗います。泡だった先輩の髪で遊んでみたりもしましたが、先輩は笑ってくれませんでした。いつになるかわからない恋人の帰りを不安の中待っていたのです、疲れているのでしょう。

身体中をたっぷりの泡で洗いながら僕が先輩をどれだけ愛しているか懇々と説いてあげると、無表情でぼーっとしていた先輩が静かに涙を零し始めます。
僕は先輩が大好きですが、こういう時は先輩が何を考えているのかわからなくなります。でもそのうち何もかもわかる日がやってくるはずです。

綺麗になった先輩の身体を柔らかいタオルで優しく拭き、ドライヤーで髪を乾かしました。僕は先輩とこういう事がしたかったのです。恋人らしくて癒されます。
手錠をつけたまま先輩の脚を再びベッドに固定する時も、先輩は暴れたりしませんでした。というのも、僕は風呂あがりの先輩に警戒して手にスタンガンを持っていたので、怖くて抵抗できなかっただけなのでしょうが。
僕は縛られたままベッドにちょこんと座っている可愛い先輩を見ながらキッチンでレトルトのお粥を温めました。体力のある男子高校生とはいえ、二日も絶食していた胃に普通の食事は良くないだろうとネットカフェの帰りにコンビニで買ったのです。

「先輩、お腹すいたでしょ?ご飯にしましょう」

先輩はすぐさま顔を上げ目の色を変えると、腹が減った犬のような切ない顔で僕を見つめます。僕は先輩の横に座り、お粥を掬ったスプーンにふーふー息を吹きかけ先輩の口元まで運んであげました。これぞ恋人の醍醐味というやつです。
先輩は物凄く嫌そうな顔をして「自分で食べられる」と言いましたが、僕が聞こえない振りをすると観念したようにお粥を口に入れました。
久しぶりの食事は堪らなく美味しいのでしょう。始めこそ嫌がっていた先輩ですが一口、また一口とお粥を口に入れる度、親鳥に餌を強請る雛のように無我夢中でお粥を欲しがります。

「そんなに慌てて食べなくてもお粥は逃げませんよ」

「も、もっとくれっ水もっ、足りないぃッ!」

男子高校生という生き物を舐めていました。僕はお粥のパウチを次々に温め、丼にお粥をよそうとペットボトルの水と共に先輩に差し出しました。この量を食べさせてあげるのはさすがに面倒なので、先輩の手錠を外しての事です。
先輩はガツガツとマナーも糞もないような食べ方でお粥をかき込み、水を勢いよく飲み干しプハーッと大きく息を吐くと震える声で「死ぬかと思った」と呟きました。僕がネットカフェで笑いながら漫画を読んでいる間、よっぽどひもじい思いをしたのでしょう。
可哀想ですが自業自得なので同情することはありません。殺すなんて言うから悪いのです。



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