「おーい。二人とも急ぐんだー。遅刻するぞ。」


9:30から撮影が始まるというのに、何故二人ともそんなのんびり支度している?もう9:25になるぞ。


「ちょっと待って!」

「あはっ、大丈夫!」


トド松待ってるから早く。十四松、何が大丈夫なんだ。急いでくれ。そんなに遠くないテレビ局でも走って5分かかるんだぞ。


「いや、大丈夫じゃない。後5分しかない。遅刻する。」

「ごめん、カラ松兄さん!」

「トド松、やっと来たか。」

「間に合う間に合う!」


何を根拠に間に合うと思ってるんだ。十四松の足でも流石に間に合わないぞ。


「間に合わない、早く!」

「十四松兄さーん!」

「間に合うって!」


やっと出てきた十四松。いつもと大して変わらない服装。トド松のようにお洒落してた訳じゃないのになぜそんなに時間がかかった。


「なぜそんな余裕なんだ。遅刻するぞ。」

「しないしない!」

「さあ急ぐぞ。走ろう。」

「えっ、走るの?!」


走っても間に合うかどうかなのに、走らないこと前提なのは聞かなかったことにしよう。

ーーーガシッ

え、ちょ。十四松何してるんだ?俺を肩に担いでどうする気だ。いや、まさか投げ飛ばすなんてことは、

ーーーヒュン

「ええぇぇぇぇえええええ!」

「ちょ、十四松兄さん?!」


投げ飛ばしたあああ!しかもトド松担いで飛び乗ってきたー!?俺着地出来なくないか?顔面から突っ込むんじゃないのか?!

ーーードォン

「グハッ…」

「か、カラ松兄さん大丈夫?!」

「ほらね、間に合った。」

「あ、あぁ。そうだな。」



地面に顔面から突っ込んだ俺を引っ張りだそうとトド松が頑張る。アスファルトの下ってこんなふうになってたのか。



「ちょっ、十四松兄さん手伝ってよ!先行かないで!」

「え?あ!カラ松兄さん大丈夫?」

「いや、あまり大丈夫じゃない。」



そもそもこれから撮影なのにこんな顔で大丈夫なのか。不味くないか?どうすればいいんだこの顔。どうにも出来なさそうだが。



「おっ、三人ともギリギリだな〜!こっち…ってカラ松?!何その傷どしたの?」

「いや、空から舞い降りし時に少しな。」

「いやいやいやいや。全然話読めないしなに言ってるかわかんないけど?!」


おそ松に若干心配され、いつもの如くチョロ松に突っ込まれる。


「あら、カラ松くん。その傷凄いわねぇ、メイク?」

「え、あ、いや…」

「でも良かったわぁ!今日のメイク、そんな感じだったからメイクの手間が省けたわ!」



こんなメイクってどんな撮影する気だ?メイク師さんがうふふと花を飛ばしながら去っていった。