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『もう、こんな生活嫌っ!束縛されっぱなしなんてゴメンよ!!!』

そう言って私が東京を飛び出し、実家のある大阪に戻ってきたのは3日前のこと。
仕事を放り出して啖呵切って飛び出してきてしまった私を、両親は快く迎え入れてくれた。
でも、きっと心の何処かでは心配しているはず。
それを隠しているのは、両親の優しさ、なのかな…。
まだわずか15歳という年齢で、業界では一流と名を馳せる私は、7歳の時にそこに足を踏み入れた。
自分でも、こんな束縛の中で今までよく耐えてきたなと感心する。
大阪に戻ってきたのはいいものの、業界では私がいなくなったと大騒ぎしている。
もう3日も経つから当然といえば当然のことだろう、予想くらいはついていた。
TVをつければ “3日前、女優の◯◯さんが突如姿を消しました!” というニュースが大々的に報道されている。
そう、私はいわゆる“芸能人”なのだ。
この名前を聞いても知らないのはきっと、高齢者年代の人くらいかもしれない。
いや、もしかすると知らない人はほとんどいないかもしれない。
それくらいと言っても過言ではないほど有名になってしまったのだ、この8年で。
私の名前は綾崎舞鈴、芸名は昴美陽。
15歳だが歴とした職業あり。
自分でいうのもなんだが、一流女優兼モデルをしている。
いや、“していた”の方が、この場では最適な言い方かもしれない。
啖呵切って飛び出してきてしまった以上、事務所に戻っても合わせる顔がない。
でも、流石に啖呵切らずにいることはもう限界まできていた。

マネ「美陽ちゃん、今日のスケジュールは朝6時から◯×局のテレビに出演、その後7時半までに…………………………で、夜1時まで予定はびっしりだから、頼むね。」
『………はい。』

毎日こんな調子で、睡眠時間というのはほとんどない。
実質4時間寝てればいい方じゃないかと思う。
大体中3で4時間がいいところなんて、受験間近でもないのにおかしな話だ。
私の成長期を返せ!
まあ、これ以上成長しなくても問題ないけど。
とりあえず、こんな調子で休暇ももらえないから、啖呵切って出てきちゃった☆
で、学校にも行ってみたかったし、両親に頼んでみたら「四天宝寺中学校に入学届け出しておいたよ」と言われた。
とりあえず、四天宝寺中学校というところに通うらしい私。
そして今に至るのだが、早速迷った………汗
人生の半分も過ごしていないから、迷ったって当たり前だ!
でもなぜか、大阪弁だけは喋れる私。
って、んなことはどーでもいいから!

『誰か通ってくれないと困るんだけどなぁ………あっ。』

いいところに道聞けそうなお兄さん発見☆

『すいませーん、ちょっとお尋ねしたいんですけど………』

え、ちょっと待って、この人知ってる、前に何かのテレビでちょこっとだけ映ってた気が…。

「…はあ、どこ行きたいんです…?って、え?自分、どっかで見たような…。」

え、いや、待って!!!
学校到着前に気づかれちゃいます?!
ちょっ、それは困るぅぅぅぅうううううう!!!

「自分、昴m『ひっ、人違いですぅぅぅうううう!!!し、四天宝寺中学校って何処ですかぁぁぁあああああ?!』…………四天宝寺、中学校…?」

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