「嘘っ…」

「よろしゅう頼むで、舞鈴ちゃん」

「よろしゅうなw」


え、なんで…?
ついさっき席替えをした。
そこには別に問題はない。
だけど…なんでよりによってテニス部の間の席!!??


「いいなー、舞鈴ちゃん!謙也君の隣で白石君の前なんて!」

「え、良くないけど…」

「えー、いいじゃん!かわって欲しい!羨ましすぎる!」

「私もかわれるものなら、かわって欲しいわ。貴方の席すごく平凡で羨ましいわ。」


これまでテニス部と関わる事なんてなかった。
高3になるまでは幸い、同じクラスにテニス部はいなかった。
それが、高3になってテニス部と一緒のクラスになって…。
それだけでも厄介なのに、おまけに隣と後ろって、神様は不公平ね。
本当は神様なんていないんじゃないの?


蔵「なんや、俺らと一緒は嫌なん?」

「嫌よ。私、最大限テニス部とはかかわりたくないの。」

謙「なんで、そないに嫌なんや?」

「だって、テニス部ってただのイケメンの集まりじゃない?出来れば関わりたくないわね。」

蔵「なんやねん、ただのイケメンの集まりって。」

「でも、本当の事じゃない。あんたたちも、それから一氏だっけ?とか、みんなただのイケメンじゃない。」

謙「“ただの”だけ強調するなや!これでも、テニスの腕には結構自信あるんやで?」

「ふーん、じゃ、証明して。」

謙「は???証明?」

「うん。」

蔵「ほな、放課後観に来いや。試合したるで、テニスの腕見せたる。」

「わかった。で、テニスコートってどこ???」

謙「…はぁ!!?自分、そんなことも知らんかったん?!」

「う、うるさい、忍足。だって、関わりたくなかったんだし。」

蔵「まぁ、それが普通やな。関わりたくないんやったら気にせんもんな。」

謙「あー、せやな。すまん。つか、忍足って呼ぶなや!謙也て呼べや。」

「なんで?」

蔵「こいつ、従兄弟おるんやけど、そいつの事めっちゃ嫌っとんねん。」

「ふーん。」

謙「思い出しただけでも寒気がすんねん!」

「へー。」


と、放課後テニス部を見に行く事になってしまった…。
全然興味ないんだけど…。
それに、今日は家庭科部の部活あるし。
少しくらい遅れても大丈夫よね?
でも、テニス部の輪に入って行きたくはないから、なるべく端からみてよう。

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