真昼のサーカス団 | ナノ
最後の公演

なんつって。これは俺お得意のマジック。種も仕掛けもあるよ?あるにきまってるじゃん。教えないけど。


「なんとっ!突如トランポリンが現れ二人を助けた!」


トランポリンの上で二人がぽんぽん跳ねる。お客さんはみんなどこからトランポリンが?!という顔をしている。これは大成功だな!


「只今のマジックは私ブラッドの曲芸でございます。道化曲芸ならお任せ下さい。」


手から花をポンポン出すとわああ!という歓声が上がった。うん、やっぱ歓声は気持ちいいぜ。最後にクラブを5本出す。


「お次はこの方!」


既に5本のクラブを持ったチョロ松がジャグリングをしながら登場。そのチョロ松に自分の持ってるクラブを1本ずつ投げ入れていく。


「最高20本のクラブをジャグリングできる、ジャグリングの神リーフ!」


今回は10本だけどなと心でツッコミながらチョロ松を紹介する。


「そして最後はこの方!」


虎に乗った一松登場。もう何年もこの仕事やってるけどやっぱ、虎とかライオンとかはまだちょっと怖ーようん。


「動物なら小動物から猛獣までなんでも来れ!猛獣の聖母、猛獣使いのシラー!」


一松の猛獣ショーが始まる。その隙に下がった4人が戻ってくる。ここまで来るともう曲芸も終盤だ。
一松の合図に合わせて虎、ライオン、ジャガーが登場する。それに二人ずつペアになって飛び乗り客席付近を一周して終わりだ。


「皆様、本日はお楽しみいただけましたでしょうか?ここでの公演は本日が最後となります。5日間、とても楽しくやらせてもらいました。本当にありがとうございます。それではまたどこかでお会いしましょう!」


再び動物達に飛び乗りステージを去る。これでこの街も最後か。次、来ることがあるといいなぁ、なんて思いながらライオンの背に揺られていた。


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