真昼のサーカス団 | ナノ
ウェルカム トゥー サーカス

「レディース&ジェントルマン!それから小さなお子さんたちも、ようこそ真昼のサーカス団へ!私、団長のブラッドと申します。以後、お見知りおきを!」


今日も客席は満員。ぐるっと一周見回しながらウェルカムトークをするのが団長である俺の仕事。スポットライトを一身に浴びるというのもなかなかいいものだ。


「団員の紹介はパフォーマンスと一緒にしていきたいと思います。えー、それでは皆様、どうぞ楽しんでいってください!」


拍手喝采の中、軽快な音楽とともに現れたのはティアーこと次男坊カラ松。
会場のほぼ端に立ち、真反対の端にある的目掛けてナイフを投げる。


「トップバッターはこの方!どんな的でも外さない!ナイフ投げなら俺に任せろ!がキャッチコピー、ナイフ投げの貴公子ことティアー!」


全てのナイフを真ん中に当てるカラ松を横目に、初っ端から飛ばしてんなーとちょっと引く…じゃなくて感心した。
アイツの特技は絶対に当たるはずないと思われるような距離から真ん中に当てちゃうこと。本人も絶対に外さないってことを自覚してるし自負している。それゆえ練習台は人。そこだけが難点だろうか。
カラ松がスッとお辞儀をしたのを合図にスポットライトが切り替わる。


「続きましてはこの方!」


観客がスポットライトを目でおってるのを確認して話し始めるのって意外と難しいんだぜ?


「空中曲芸ならおまかせ!宙浮くアイドル、ピーチ!」


相方がまだいない…いや、出来上がってないトド松が独り空中ブランコ。技術は凄いわけよ。でもさ、いつも誰かと練習してるトッティーを見てる俺としてはなんかしょぼい気がしてならないんだよなぁ。
パッと手を離して落下するトッティーに客席から悲鳴が上がる。まあ、故意に落下してるんだけどさ。スポットライトが切り替わるとトッティーを抱えた十四松がいるってわけ。


「おっと、これはナイスキャッチ!地上曲芸ならオールOK、地上の天使はパインだ!」


トッティーを抱えながら大玉に乗ってコロコロする十四松にお客さんも和んでいるようだ。
が、しかし。突如その大玉が消え、十四松とトッティーが地上へ真っ逆さま。危ねぇ!!!

prev next