純愛ごっこ【影鬼】


やぶてん版のイナイレで、円堂に詰め寄られそうになった総帥を鬼道さんがスピニングカットで守って二人で車で去っていくシーンがあるんですが、その後の妄想というかひたすらイチャイチャする二人の話です。





恐らく反射的に動いたであろう脚が地面を削り、衝撃と共に砂埃が舞い上がった瞬間円堂の小さな体は軽々と数メートル先に飛ばされてしまった。


「総帥に近寄るな」


表情一つ変えないままで円堂を蹴り飛ばした、と言ってしまったら語弊があるが、より強力であろう技を放った張本人の鬼道有人は、尻餅をついた円堂に「最初から興味を示してなどはいなかった」とでも言いたげにそれだけを告げれば、すぐに総帥と慕う男の背中を追い歩きだした。


「よくやったな、鬼道」

「いえ、当然の事をしたまでです」


車に乗り込んだ瞬間に言われた一言に、言葉では些か素っ気ない様子で返しながらも、表情には先ほどとは打って変わって実に少年らしいはにかんだような照れくささを押し殺したような、そんな色が浮かんでいた。


「鬼道、常にポーカーフェイスでいろと教えたはずだが?」

「っ…!申し訳ありません」

自分の表情が弛みきってしまっていることに指摘をされてから漸く気が付いたのか、慌ててだらしのない表情を直そうと試みるもそれは呆気なく失敗に終わってしまった。
唐突に抱き寄せられた腕の中で、鬼道は数回ゆっくりと瞬きをしてから一気に頬を赤く染める。


「そっ…総帥…っ何を…」

「鬼道、最近お前はよくやってくれているからな、たまには褒美をやらないと割りに合わないだろう」

「じ、自分は……そんな…」


抱き寄せられた腕の中から逃れようとそっと影山の胸元に手を添えるが、体はなかなか思うように動かず、鬼道は眉をひそめてゴーグルの下で僅かに目を細める。
影山の腕の中納まり続けることに、特に深い意味などはなかった。ただ、今この瞬間の温もりを手放すのがどうしても口惜しかった。


「鬼道……今日は特別だ、好きにしていいぞ?お前の思うように、お前のしたい事をしろ」


耳元で低く囁かれた言葉にふるりと小さく体を震わせ、熱を孕んだ吐息を吐き出せば、影山の唇が至極愉快そうに弧を描いたのが見えた。




「ん……っふ、ぅ…」


鬼道の家を訪れた影山は、当然の如く快く招かれあっさりと鬼道有人の部屋まで入り込み、そのベッドに腰を下ろしていた。
目の前には部屋の主である、鬼道有人の姿。自らの前に座り込み股間に顔を埋め、必死になって到底彼の小さな口には納まり切らない男性器をしゃぶる姿を、影山は愛しげに見つめながらゆっくりと彼のゴーグルを外した。


「ん…っそ、すい……気持ちい…ですか…」


小さな両手で猛った男性器を包み込み懸命に扱いたりして愛撫をしながら、カリ部分に舌を這わせたり先端を銜え込んだりを繰り返し影山の反応を伺う。
表情にあまり変化はなかったが、さすがに僅かに息が上がり体には力が籠もっていた。なによりグロテスクに勃起したペニスが隠し仰せ無いのであろう快感を物語っていて、鬼道は自分の愛撫に感じてくれている事実が嬉しいのか幸せそうに笑いながらそっと熱く脈打つペニスに頬擦りをする。


「あぁ……総帥、総帥…好きです…もっともっと気持ち良くして差し上げますから」


恍惚の表情のまま囁き再び口内に硬く勃起したままのペニスを招き入れれば、頭を上下に動かしたり喉奥でそっと締め付けたりして影山を追い詰めていく。
不意に口内のペニスが一際大きく脈打ち影山の体が僅かに震えた瞬間、口内に勢い良く注がれた青臭くどろどろとした白濁に目を見開き、苦しさに咳き込んでしまいそうになるが、影山の子種を例え一滴であろうと取り零す事などは鬼道には出来ず数回に分けて喉の奥へと流し込む。
そっと、甘えるようにもたれかかれば、優しい手つきで頭を撫でてくれる手に幸せそうに瞳を細めすりすりと頬をすり寄せる


「……総帥…」

「…もう、終わりでいいのか?鬼道」

「い、いえ……まだ、その……」


抱いていただいていません。
控えめながらもはっきりと告げられた一言に、影山はまたゆっくり口端を吊り上げ笑みを浮かべた。




10.07.23--純愛ごっこ
-----鵯




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