18.他人戦隊ストレンジャー(‘02. 7.10)

【会場】奈良教育大学 講堂
【スタッフ】脚本・演出●小柳 亮 美術●安藤花恵 舞台監督●村上依里etc
【キャスト】赤野一人/ストレッド・・・小柳 亮、情報部部長・中西恵美(ダイモン団長)・・・安藤花恵、科学部部長・大場 九(総司令の声)・・・花岡宗憲etc

【あらすじ】
TANIN・・・タニンとは、
Toward darkness ANtagonistic INternationalの略称である
世界の平和を守る、暗黒組織国際対策委員会タニンは、
強大化した数々の暗黒組織に対抗すべく、強力戦隊ストロングレンジャー部隊・・・通称「ストレンジャー」を組織。選抜テストを各支部で実施して、5人の優秀な隊員を選び出した。
だが、テストを実施した5つの支部は謎の敵の奇襲を受けて壊滅、隊長は重傷を負い、4人の隊員もそれぞれ行方不明になってしまった・・・
隊長候補だった赤野一人は補欠合格となったが、本部に着くなり、集まった隊員は自分だけだと知らされ、愕然とする。強大な敵を前に誰もが戦意を喪失してしまったのだ・・・。

そこへ、暗黒組織ダイヤモンドダスト出現の報!
強化服は5つ完成しているものの、装着する人員は1人・・・
果たして、一人は1人でどう立ち向かう!?


【解説】
02年度の新人公演にして、「超能力刑事」「8犬伝」へと繋がる、キラキラ座ヒーローもの路線の第1段。
正式タイトルは「他人戦隊ストレンジャー 第1話 新戦隊登場!あと4人は誰だ!?」

当時、1回生のデビューとなる「新人公演」は台本も演出もメインキャストも、全て1回生が務める(上回生は補佐に徹する)のが、通例となっていた。
(#13・#15の各新人公演もこれに該当する。現在の新人公演では、1回生は役者に徹し、2回生が脚本もしくは演出のデビューをするという形に落ち着きつつある)

この作品も、当時1回生だった小柳が脚本・演出・主演を担当。
実は「他人戦隊ストレンジャー」は小柳が大学入学以前から、遊びで考えていた話。ストレッドの一人だけがレギュラーで、残りは一人がその場で偶然居合わせた人に頼んで、変身してもらう・・・、つまり、レッド以外のメンバーは毎回総入れ替えという戦隊である。スーパー戦隊シリーズと同一フォーマットで作ることを前提に、全52本のプロットが出来た状態だったのだが(どんだけ暇だったんだ・・・)、その1〜3話の内容をくっつけて、舞台用に改編したのが、本作である。そのため、第一稿が出来上がるのはかなり早く、対抗馬が出る間もなく、演目は本作に決まったのである。(先にプロットを用意した者勝ちという状況は、今もあまり変わっていない)

・・・しかし、問題はここから。当時の小柳は舞台の芝居を全く見たことが無く、ハッキリ言って映像と舞台の明確な区別がついていなかった。ストレンジャーはそもそも、映像想定。そのため、できた台本はやたらと舞台転換が多く、芝居としては無理の多いものだった。

しかも、十分な数のキャストを集められず、ストレンジャーは3人までが限度、一部のキャストがタニンの関係者と暗黒組織の戦闘員の2役をせざるを得ない事に・・・

結局、改稿を余儀なくされた訳だが、ここで小柳は開き直り、「タニンの関係者が暗黒組織の戦闘員を演じる」という話に変更。つまり、「ダイヤモンドダストとの戦いは、あくまで補欠だった一人のリーダーとしての資質を図るための模擬戦闘」というオチが加わり、単純にワルをやっつけてオシマイ!という初稿の流れとは一味違うものになった。

創作劇の場合、制作上の問題にぶつかっても、大胆な変更が効く。しかも、その変更が当初想定していなかった面白さを生む・・・

その事を身を以て実感できたのは収穫だった。



しかし、暗転の多さは結局変えられず、一旦ハケての変身もうまくいかず(おかげで、悪役連中がかなりアドリブで繋ぐはめに・・・) 、変身後の衣装もかなり妥協したものしか製作できなかった(悪役サイドのマスクは美術の安藤氏による素敵なものが出来上がった)。全体的にはかなりグダグダなものとなってしまい、以降、小柳の「如何にヒーローものを舞台上で演出するか」の研究が始まる・・・
(ちなみに、ヒーローの納得いく衣装は、翌年の子どもフェスティバルでのコーナー企画「輝甍戦士フェスティバン」となって結実。舞台上での一発変身は、#32でのサンタからフェスティバンへの変身シーンで叶う事となる)



なお、公演終了後しばらくして・・・

#19の内容検討の席上、「今までの公演をくっつけてみたらどう?」というアイデアが出された。それを受けて、本作の作品世界に#13・#15・#17のキャラクターをゲスト出演させた「他人戦隊ストレンジャーALIVE〜独裁西域記〜」の執筆を始めるが、1年近くに渡る執筆期間の内に、ボリュームが膨らみ過ぎて、今度こそ舞台に乗せるのが不可能となり、劇団キラキラ座誕生10周年記念の「CDドラマ」として日の目を見ている。


【キャラクター・ピックアップ】
◎赤野一人/ストレッド(絵はSD化した設定デザインと強力戦隊のマーク)
 強力戦隊ストレンジャーの行動隊長。
 ギターを持って、テーマ曲「二人の地平線」を歌いながら登場するが、実はギターを弾く事は出来ず、メロディーは別にラジカセを用意して流している。
 ストレージチャージャーに内蔵された伸縮自在の超高性能強化服ストレッチアーマー (伸縮自在故、誰でも装着可)を「ストレッチャージ!」の掛け声で装着、ストレッドに変身する。
 ギターに専用銃ストレンジブラスターを合体させると、強力な必殺武器「ギタリストキャノン」になるが、発射時の反動圧力が物凄く、5人いなければ、まともに使う事が出来ない(設定だったが、前述のキャストが揃えられない理由で、3人いればなんとか耐えられる事に・・・)
 一人は、この必殺武器を使うためにも、共に戦ってくれる仲間をその場で見つけ出さねばならないのだ!

【文責/OB:小柳 亮】

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