12.本能寺変(‘99.11.13/14) 【会場】奈良教育大学 講堂 【脚本】四宮 豊 【スタッフ】演出/太田垣 学 照明/久田 清人 音響/一ノ瀬 友美 衣装/添谷 史香 小道具/藤原 亮祐 岩瀬 直子 舞台監督/太田垣 学 サポート/佐藤 佳世子 新谷 倫子 川城 精司 四宮 良子 【キャスト】織田信長・・・柴田 貴之 森蘭丸・・・ 松田 英子 母・・・添谷 史香 ルイス=フロイス・・・岩瀬 直子 ガラシヤ・・・明井 美絵 濃姫・・・三好 亜由美 雑兵・・・福田 賢 月出 修司 住職・・・柳瀬 雄一郎 明智光秀・・・四宮 豊 【解説】 歴史9部作の第2弾として上演された。 【バックステージ】………こぼればなし ○織田信長役の柴田貴之の、ある意味歴史を覆す「柴田信長」のキャラが光った。 本能寺が「宿泊施設」という設定で、火に包まれた時思わず枕元の電話からフロントに助けを求める信長の慌てっぷりが笑いをさそった。おっちょこちょいキャラを演じさせればひときわ光る柴田ならではの信長。 ○異変に気付き「火事でござるぅぅぅ〜」と右往左往する森蘭丸を演じたのは、第10回公演で「パニック女優」として開花した松田英子。ボーイッシュながら色白の彼女が演じる蘭丸は舞台を華やかにした。 ○「大化改新」でブリブリのキャラクターを演じていた三好亜由美は一転、この舞台で妖艶でたくましい濃姫役を見事に演じきった。脚本の四宮が、その演技に惚れたのかは定かではないが、後に三好は四宮夫人となった。 ○ルイス=フロイス役の岩瀬直子は、地毛の天然ウェーブヘアを活かし、ほぼヘアメイクなしてポルトガル人フロイスを演じきった。(宣教師特有のエリマキトカゲのようなヒダヒダの白いエリがあれほど似合う人を私は知らない)このウェーブヘアといい、「大化改新」の安麻呂のメガネといい、岩瀬はその役柄をほぼ「素」で演じられる天性のキャラクターを持っていた。 ○彗星のごとく現れた、住職役の柳瀬雄一郎はどこか「酒井くにお とおる」の「とおるちゃん」を思わせる不思議な存在感だった。学生とは思えぬ独特の老成した雰囲気を醸せる貴重な存在であった。 ○歴史9部作、といいながら未完の作品も数多い。 第10回公演(歴史9部作第一弾)のパンフレットには 「COMING SOON! 次回作 [歴史9部作 第二弾 弓削銅鏡] 実は銅鏡は……… 衝撃の歴史超大作スペクタクル絵巻!」 の告知が載せられているが、未だ上演の日の目を見ない。 ちなみにこの#12(歴史9部作第二弾)のパンフレットには 「COMING SOON! 次回作 [歴史9部作 第3弾 赤壁大戦] ー羅貫中『三国演義』よりー」 が告知され、松田英子の諸葛亮はじめ、柳瀬の曹操など、まさしくそうそうたるキャスティングまでが堂々と記載されている。今になって思えば2008,2009年に公開された映画『レッドクリフ』の先を行く公演になるはずだった。しかしながら残念なことに公演記録にはその名を留めていない。着眼点は良かったが、スケールが壮大過ぎたのかも知れない。 もしやジョン・ウーにパクられたのではあるまいか?との見方もあるが、もちろんそんなことはあり得ない。 【文責/OB:廣田真理】 |