「〜で、あるからして…」


現在入学式の真っ最中


校長先生の長い話を聞いていると、思わず欠伸がもれてしまう


校長先生からしたら、私達のために一生懸命スピーチしているんだろうけど、まだ若い高校生からしたら、校長先生の長いスピーチなんて暇な時間でしかない


わたしの周りの人も、ちらほら欠伸しているし、暇そうな顔をしている


一生懸命聞いている人なんて、なかなか居ないだろう


「ー校長先生、ありがとうございました。次は、新入生代表のスピーチです。緑間真太郎くん、お願いします」


その言葉で、私はハッと壇上に視線をやった


次の新入生代表のスピーチをやるのは緑間くんなのか…


緑間くんが話し始める


ここからでは良く見えないが、ぼやっと緑色の頭が見えることと、この声色から、同姓同名でなく間違いなくキセキの世代の緑間真太郎が新入生代表のスピーチをしていることがわかる


緑間くん真面目で成績も良いもんな


赤司くんには負けるみたいだけど…


でも、彼が努力家なのはアニメで見てよく知っている


転生トリップしたと気付いたときに、彼らと関わらないで過ごすと決めたときから、モブに徹していようと思っていたけど、モブでもこう言うイベントはあるのね


それに、帝光中の時にも紫原くんと知り合うイベントは会ったし…


まぁ、ゆっくり話したのはあの一回だけで、あの後は顔を合わせたときに挨拶を交わすくらいだったけど


でも、これでいいのだ


幸せを得ようなんて欲張ったら、バチが当たってしまう


…両親が亡くなった、あの時のように


前世で死んだときに、最大の親不孝をした私に、知らないとはいえ、あの人たちなりの最大の愛を与えて育ててくれたこの世界の両親


その両親がいたから、私はこの世界に転生しても、心が壊れることなく過ごせたのだ


感謝してもしきれない


そんな両親が亡くなるなんて言うバチが当たったのは、きっと、前世で最大の親不孝をしてしまったからだろう


だから、私は幸せは求めない


そんなことしたら、前世の両親にも、今世の両親にも、顔向けできないもの…


それが、私なりの罪滅ぼしだ







贖罪

(私なりのね)

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