駅構内でのおはなし


 

  
 
 

春は別れと出会いの季節である。
今はその別れの場面・・・
 
 
「ほんま・・・ありえへん。」 
「相談もなしに・・・すまん」
 
目の前でめっちゃ謝ってくる蔵に
ウチはこれまでにない怒りを感じていた。
 
それは、
蔵が大阪を出て東京に行くこと。
テニスの推薦で前々から決まっていたらしいが
彼女であるウチに一言も言わず
昨日、幼馴染の謙也から聞いた。
今日は蔵が旅立つ前日。
 
「なんで!?あんだけ時間あったやん!
 なんで・・・なんで言ってくれんかったん?」
 
蔵はすまなさそうな顔でこっちを向く。
 
「ウチが泣くと思った?
 悲しい顔するから?
 呼び止めてくれると思ったの?」
 
「・・・」
 
「ウチは蔵がいなくても生きてけるんやから・・・」
 
ほんとは嘘・・・
蔵がいないと生きてけん・・・
 
 
「・・・その通りや、
 謙子が悲しい顔すると思ったから・・・
 言えへんかってん・・・すまん」
 
めっちゃ苦しい笑顔みして
そこまで・・・

 
 
 
 
 
 
 
「そこまで・・・重荷やった?・・・っ・・・
 ごめっ・・・ごめんなぁ・・・っ」
 
 
自然に涙出てきて
止めれんくて
どうしたらいいかわからんくなって
とにかく後ろ向いた。
 
「ちゃっ、ちゃう・・・ちゃうねん」
「何が?・・・何がちゃうん?
 うちを重荷やとおもたから
 言えへんかってんやろ?」
「ちゃうっ」
「もうえぇねんて・・・無理せんで」
「やから」
「もう・・・えぇよ、もうききたな」
「話きけぼけ!」
 
蔵が怒っているのにきづき
ふと前を見る。
 
「・・・なんで蔵が怒るん。
 怒りたいのはウチのほうやろ?」
 
「やから、話聞けって、
 オレは東京に行く、これは確定や
 ・・・謙子もきてほしいねん」
 
 
 
 
は?
 
 
 
「えっちょっと・・・意味わからん」
 
「東京の学校決まって
 でも謙子と離れたくなかった、
 ・・・やからな
 ずっと・・・謙子の親にな・・・」
 
「ちょっと待って、んじゃ最近毎日夜中きとったの蔵!?」
 
 
「・・・ほうや」
 
 
 
ありえん・・・
いっつも早よ寝る親が
最近夜中まで起きとる理由がやっとわかった。
蔵・・・やったんや。
 
「んで、昨日やっと説得してん
 やから、・・・東京、ついてきてくれんか?」
 
 
「・・・行っていいん?」
 
「当たり前や!」
 
 
蔵が腕広げたから
ウチはその胸に飛びこんだ
 
「蔵、大好きやぁ」
「オレもや!」
 
 
 
---->
(あらっ謙子ちゃんかわいいやんっ)
(おいっ小春!浮気か!)
(・・・部長やりますね)
(こんなとこではずかしいっちゅー話や)

 
 
 



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