2-2 「……………」 「……………」 「……………」 ち、沈黙が気まずい…! なんなのさっきの勢いはどうしたの卿なんで無言なの!? 「………ハナ」 「ん?」 「…写真をとってもいいか」 「とるな」 カメラを構えた卿にクッションを投げ付け残りのビーフシチューを掻き込む。 無言だったのは卿が色々考えてたからなのか、全くもう。 掻き込んだせいで汚れた口の周りはセブにティッシュでぬぐってもらい、視界の端でぴくりとも動かなかった卿に目をやった。 ……床に落ちたクッションとソファーに倒れた卿が超ミスマッチ。 これは反応したほうがいいの?ツッコミ待ちなの? 「…………なんでセブルスもハナも反応してくれないんだ!」 「さみしんぼか」 嘆く卿に思わず呟く。 ごちそうさまを言い忘れたことに気がついてセブにごちそうさまを言い、セブの皿洗いが終わるのを待つ。 そういえば卿は何をしにきたの…? 「ケーキ屋さんができたからな!どうせならハナに見てもらおうと思って!」 胸をはって威張る卿から少し距離をとる。 今心の中読まれたよね?絶対読まれたよね? セブなら怖くないのに卿に心の中読まれると怖いのはなんでだ。怖いよ卿どうやって心の中読んだの! 「俺様の開心術は凄いからな!」 開 心 術 の ム ダ 遣 い ! 闇の帝王の名が泣くよ! セブもため息ついてないでどうにかして。 いつも思ってたけどセブが皿洗いってシュール。しかも律儀にエプロンまでつけてるから凄くシュール。 「そういえば我が君」 「む」 「我輩の机の上を荒さないでください…あのですね、我が君が殺した人、」 「殺してないけど!」 「…我が君が殺したふりをした人以外にも他の死喰い人が殺した人もいるでしょう。その人達は生きて、」 「生きてる生きてる。大丈夫」 「…………!なぜ、」 「だって殺さないの伝えてなかったのセブルスだけだし」 「……………」 「……せぶ、いきてる?」 微動だにしないセブに恐る恐る声をかける。 さっきまでしてた食器の触れ合う音がしなくなって蛇口からでる水の音だけになったから異様に静かだ。 お願いだから誰か喋って。 この沈黙怖い。 「………なんで貴方は大事なことをいつもいつも!」 「だってセブルスがダンブルドア側についてるのわかってたし」 「なっ……!」 「俺様の開心術最強だからな!」 高笑いする卿に固まるセブ。 卿が世界征服やめてくれてよかったよほんと。 セブや狸校長より一枚も二枚も上手だ。 「……ルシウス先輩も?」 「もちろん知ってた」 「ベラトリックス、」 「もちろん、セブルス以外全員」 機嫌よく鼻歌を歌う卿を凝視して動かないセブにため息をつく。 両手についた泡と水が床にぽたぽた落ちてるけど、掃除するのはセブなんだから早く復活しなよー 「………あ、ハナ!俺様の店に、」 「せぶが、さらあらい おわったらね」 「セブルス早く皿洗いをしろ!」 ノロノロと皿洗いに戻ったセブの手つきがぎこちない。 ショックなのはわかるけど! ………お皿、割ったりしないかな。 [*prev] [next#] [back] |