「いいかハナ、誰かきたらすぐに猫…」
「とら!」
「すまん。虎の姿になるんだぞ、人間の姿は我輩とドラコ以外に見せてはならん」
「はーい」

ソファーに座りふわふわの白いスリッパをぱたぱたさせながらセブの忠告を聞く。

さっきセブが私を見て口元をおさえながら机バンバン叩いてたけど私は知らん。
とりあえず机壊れそうで怖かった。


「それから…」
「わたしはだいじょうぶだから。ちこく、するよ?」
「あぁ…いい子にしてるんだぞ。お昼には一旦帰ってくる」
「うん!」

名残惜しそうに私の頭を撫で最後までこっちを見ながらゆっくり、ゆっくり扉が閉められた。
亀もびっくりのスピードである。多分今うさぎと亀に勝負を挑んでもぶっちぎり最下位なんだろうなと頭の片隅にふっと浮かんだ。

とりあえず早く閉めろ。


「んーなにしようかな」

危ないから魔法薬や大鍋触っちゃダメ、本も頭の上に落ちてくるかもしれないからダメ。
…どんだけ過保護なんだよセブルス。

「にーとになっちゃうぜ!」

ダメだ、この世界にきてまでニートとかマジ笑えん。

とまっていた足をまたぶらぶらさせ始めるとスリッパの片方がセブの消えたドアにぶつかった。
ちなみにこのスリッパ、セブが買い与えてくれたものである。

どこで買ってきたのか(お店の人がどんな視線でセブを見てたか知りたいので)非常に興味があるがあえて聞かない。
冒険はしない主義である。(笑いすぎて腹筋を崩壊させたいなら別だけど)


「んーひまーひまー」

飛んでいったスリッパをけんけんで取りに行き(ぐらついた。こけそうで怖かった)ドアを見る。
…そういえば出ちゃダメとは言われてない。

虎の姿なら許されるよね?


「そうときまれば、しゅっぱーつ!」

ホグワーツを冒険しよう!
冒険はしない主義だなんてあれだよあれ、精神的な意味のやつね。
言い訳だと思った人その場でスクワット10回決定。

「がう(よし)」

小さい体で精一杯ジャンプしてドアノブを下に引く。
回すタイプじゃなくてよかったよほんと。
小さくあいた隙間からするりと体を滑りこませ後ろ脚でドアを閉めた。

魔法薬学で使っているであろう教室(異様に見覚えがある。画面越しだったけど)を横切る。
セブはまだ授業じゃなくて職員室に行くって言ってたな、資料さえ忘れてなければギリギリまで部屋にいれたのにって歯ぎしりしてた。

そして教室と廊下を繋ぐドアの、微妙にあいてた隙間から廊下にでた。


「がぅがぅあ…!(ホグワーツだ…!)」

いやー森から帰ってきたときはセブのローブの中だったからな。
私ほんとにホグワーツにいるんだ凄い感激。


「がーぅがぅがーぅ(せーんろは続くーよ)」


さて、色んな所を歩き回ってみますかね!


可愛い子は旅をする
送りだされてないよ、自己判断です


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