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一瞬目を覆いたくなるほどの眩しさにシェイナは襲われた。
開場には、貴族のご令嬢がたくさんおり、皆、それぞれ挨拶を交わしていた。
「・・・つまらないな」
「ん?シエラ何か言ったかい?」
「いや、何でもない」
振り返ったクレークに何でもないと言ってまた歩き出す。
そうだった。
今日はシェイナではなくシエラだ。
クレークが知人に挨拶を始めたのを見計らって、シェイナはシャンパンを片手に隅の方へと移動する。
「僕、あっちでケーキ取ってくるね」
「ああ」
シェイナはグラスを片手に持ちながら周囲の様子に目を配る。
ざっと見、見知った人物はいない。
何なんだ。
一体何の為に私達は呼ばれた?
手にしていたワインを一気に飲み干す。
外に出て風に当たろう。
そう思い、彼女は外に出た。
月が水面を照らす。
彼女は噴水の前にいた。
「―――・・・全く、何をやっているんだか」
「―――おや?お美しいレディがこんな所で何をなさっているんです?」
不意に背後から掛けられた。
驚きの表情を浮かべて彼女は振り返る。
「お前っ・・・」
「ん?私に何か?」
青年は首を横に傾げる。
月明かりに照らされたその面影は誰が見ても美しいと思うだろう。
「お前はっ・・・」
何の前触れもなく彼女は青年にナイフを振りかざして飛び掛かる。
「・・・くっ。何ですか、いきなり。危ないじゃ・・・ああ。もしかして」
「触るなっ!!」
捕まれた腕を振りほどいて彼女は距離を取る。
「―――そこまでだ」
低い声が響いた。
「・・・?」
「この女に手を出さないでもらおうか」
「君はボディーガードですか?ブレッド君」
そう言って彼はクスリと笑った。
「・・・さて、あんたは誰だっか。悪いが覚えていない」
「お下がりくださいっ、公爵っ・・・!!」
「・・・っ!?」
銃声が鳴り響いた。
間一髪の所でブレッドは回避した。
「アーマイル」
「怪我はありませんか?駆けつけるのが遅れてしまい、申し訳ございません」
「大丈夫だ。こんなやからに殺られるほど私は柔ではない」
「それもそうですね」
黒髪の少年はホッと安堵した。
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