21



* * *




蒼詠の調査により楼主の不正もつき出され、役人に引き渡された。


程なくしてこの店は止めることとなった。





* * *





店仕舞いを聞かされて遊女達は近くの店に移った者や、不正に連れてこられた者達は親元へ返されたり、新しい方向先を紹介されたりした。


静かだ。


窓辺に腰掛けながら彼女ーーー蓮華は煙管を吹かせ、下を見下ろしていた。


この店も残すは彼女独りとなった。


ふぅっと白い煙を吐く。


「ーーー遅かったじゃないか」


そう言って彼女は首を傾ける。


入り口に鬼面を被った人物が立っていた。


「みんな避難できたんだろうね?」


「お前を切ればここでの仕事は終わりだ」


鬼面の人物は俯きながらそう告げる。


「そんな顔しないでおくれよ、和葉様」


ゆっくりと立ち上がると蓮華は彼ーーー和葉を手招きした。


ゆっくりと彼は蓮華に近づく。


ちらりと蓮華は背後の窓から下を見る。


人がちらほらと集まってきていた。


閉店を名残惜しむ者が集まってきたようだ。


それを確認すると彼女は後ろ向きのまま窓枠に足を掛ける。


下からは悲鳴が上がった。


それを待っていたかのように廊下に火の手が回ってきた。


「ーーー蓮華」


「あんまり痛くしないでおくれよ」


ふっと笑ったと同時に口から血が溢れる。


次いで腹部に痛みが走った。


ぐらりと後ろに傾く刹那に腹部に刺さる刀が見えた。


「はっーーー」


窓から落下する前に和葉は彼女を支える。


一連の流れを見ていた者達が下から悲鳴を上げる。


和葉はぐったりとした蓮華から刀を抜くと、彼女を抱き抱え、燃え盛る炎の中へと消えていった。




この妖の支配する花街で、一人の花魁が散った。




[ 45/61 ]

[*戻る] [次へ#]
[目次]
[しおりを挟む]



(c) 2011 - 2020 Kiri






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -