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身を屈めて和葉の目を見る。


「貴方様の事です。何か考えがあるのでしょうが・・・私は商人である前にあやかし屋の者ですから。敵の手の姫を簡単には信用できませんね。恐らく・・・私が一番信用しないでしょうね」


こういう性格ですからと白蛇は苦笑する。


「ですが・・・もしかしたら・・・貴方の心を」


その氷った心を。


「溶かしてくれる存在になるかもしれませんね」


白蛇は顎に手を当てて苦笑する。


「姫も、随分懐いている様ですし・・・」


人見知りだと聞いていた。


今日、ここに来る前に。


和葉からも・・・他の仲間からも。


でも、もいかしたら・・・とも思った。


彼が、自分達の主が連れてきた敵方の姫。


何も無い訳がない。


何か理由がある。


ただ、まだ自分達には話す気は無い様だが。


それともう一つ。


あの姫は、一見儚く見える。


いや、儚くて、脆い。


けれど、それをも凌駕する何かがある。


それが自らの奥不覚に眠る戦闘本能が警鐘を鳴らす。


「蒼詠も言ったかもしれませんが・・・」


あやかし屋の面々は皆同じことを思っているのだろう。


自分達が守るのはただ一人。


「私達の主は貴方です。和葉様。ですが、もし、あの娘が真実敵だった時は」


祓い屋の手の者だったならば。


生かしておく訳にはいかない。


「―――殺しますよ」


偽りの笑みも何も浮べずにただ淡々とそう口にした。


それを聞いて、和葉の口角がゆっくりと上がったのを白蛇は見逃さなかった。


「―――やれるものならな」


その冷たい笑みにぞくりと背筋が凍った。


時折垣間見る和葉の一面。



ああ、やはり。


穏やかに見えても、どんなに己を殺しても。


時折見えるこの表情。


雰囲気。


発するもの。


それらが全て主張する。


全ての者が臆する様に。


この方はやはり、―――鬼、なのだと。




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