03






* * *





何処までも果てしなく闇が広がっている。


何処へ向かっているのか、足は止まる事なく勝手に進んで行く。


―――ああ、あれか。


覚えがある。


久しく見ていなかった。


これは夢だ。


自らの過去の。


どのくらい歩いたのだろうか。


ふと、足に何かがぶつかった。


どろり、とした生温かいものが手に付く。


「・・・血」


そっとしゃがめば、辺り一面血の海で、目の前には一匹の銀色の狼が横たわっていた。


「・・・おい」


体を揺さぶっても狼はびくともしない。


「おい・・・っ!!しっかりしろっ!!」


ざりっと草履の音が響く。


音のする方をゆっくりと振り反る。


そこにいたのは。


見慣れた者の姿。


笑っていた。


何とも残虐な笑みを浮かべて。














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