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こんにちわ。
なまえです。
只今ベッドの上で滾っています腐女子です。
あぁんもうルート受けも菊受けも素敵過ぎる…!!
え?彼氏?
彼氏いない歴=年齢ですけど。
文句あります?
ないですよねー。
まぁ、ともかくベッドのうえにて淡々とエネルギーをチャージしていた訳ですよ。
うだうだとしながらね!
携帯からふと視線をずらして、天井を見る。
…え。
ちょ、待って。
なんか天井渦巻いてんですけど!
え、ちょ、えぇ?!
「っヴェェェエエエ!!!」
「え?!ちょ、女の子…?!」
悲鳴を上げて落っこちてきたのは、小さな女の子。
いくら小さくても流石におなかにダイブされると辛いかな腸とか吐き気とか。
「ヴェ、ここ、どこー…?」
「え、ちょ、この子もしかして…!」
「え?知らない人がいるっ。やーー!苛めないでぇえ…」
このこ、もしかして…!!
「苛めないよ。君の名前は?私はなまえ。」
「ぼく?ぼくは、イタリアのヴェネチアーノだよぉ…」
…まさかの逆トリップktkrwww。
とりあえず。
飼っていいかお父さんに聞かなきゃ。
「というわけで、飼っていい?」
「ちゃんと世話するならな」
即刻OKを頂き、私は腕の中に抱えているちびたりあににこりと微笑みかけた。
「これからしばらく君は私たちと暮らすんだよ」
「そうなの?うん!よろしくおねがいします!」
かぁわいいなぁもう!!
にこりと天使の笑みをむけられたら断ることなんてできないよね!
うん、お父さんもお母さんも実にいい選択をした!
さすが私の両親!
いまはまだ帰ってこないけどきっと弟も気に入ってくれるね!!
「じゃぁイタちゃん、お姉さんと一緒にこれから住む家とかその周りとかを探検しにいこうか」
「うん!」
本当に可愛いなぁ…!!
こんなこ、この物騒な世の中に一人きりで置いておいたら絶対拉致監禁だよね。
つか私なら絶対しちゃいそう。
…うん。
移動は抱っこ限定だ☆
靴を履いて、カーディガンを羽織って外へと出る。
ゆっくりと、冬独特の冷たく冷えた空気を味わいながら歩を進める。
もちろんイタちゃんはカーディガンの中にTN☆さ!
「わぁ…随分とぼくと住んでいるところとは景色がちがうんだねぇー」
「時代が違うからね」
少し歩いたところで向こうから弟の乗った自転車が向かってくる。
…って
「三人乗りかよ!」
「漕いでるほうマジパネェ」
曲芸よろしくの三人乗りだった。
こいでるのは弟。
そして座席には友達。
二台にも友達。
…おまえのバランス感覚お姉さん恐い。
「あ、このこ今日から家の子になるから」
「ヴェ、よろしくですー」
カーディガンから顔を出したイタちゃんに弟は大層驚いたようだ。
「とうとう誘拐か?!」
殴るぞてめぇ。
「ちがうよ。逆トリップ。帰るまでいるの」
「妄想実現乙ww」
「あとで覚えてろよお前マジで。少し歩いたら帰るわ」
「あいよーー」
また弟は三人乗りで家へ向かった。
「弟なの?」
「うん。弟のゆうき。イケメンでしょ」
「いけめん?」
「あぁ、かっこいいでしょう」
「うん!かっこよかったぁー!」
あぁもう頑張れ私の鼻。
頼むからイタちゃんの顔に鼻血をぶっ掛けないでくれよ…!!!
一回りしてから家へと帰れば、弟が両手を広げて待っていた。
「きも!!」
「姉貴にじゃねぇよ!その子、俺にも抱っこさせて!」
私の部屋にあるAPH読んだなお前!
「ふぅ、わかった。とりあえず一緒にお風呂入れちゃってよ。私イタちゃんも寝れるように部屋片付けてくる」
「はいはい!」
にこにこと心底嬉しそうにゆうきはイタちゃんを受け取った。
こいつ、中身はフランシスとルート足して2で割った感じだからな…
小さい可愛い子がいればそうなるか。
さぁ部屋を片付けようか。
お風呂から上がったイタちゃんを一緒にお風呂に入ったゆうきがドライヤーで乾かしている間にご飯の仕度。
「これからはイタちゃんの分も買ってこなきゃね」
お母さんが嬉しそうにつぶやいているのを聞いて、少しだけ嬉しくなった。
明日は丁度いいことに振り替え休日。
一緒に遊ぶ予定だった仲間達には悪いけど、明日はイタちゃんと、家族との時間にさせてもらおう。
友達に断りのメールをしたあと、もううとうととしている可愛いイタちゃんをベッドへと持ち上げた。
「わ、こんなにやわらかくって暖かい布団で寝れるなんてなまえお姉ちゃんはお金持ちなの?」
「ふふ、違うよ」
嬉しそうに低反発マットに沈んでゆくイタちゃん。
少しの間感覚を楽しんでいたけれど、そのうちに眠りに着いてしまった。
「…明日いなくなるとか、ないよ、ね?」
向こうではきっと大騒ぎだ。
でも、せっかく、会えたんだ。
会うはずの無いこの、愛すべきキャラクター…ううん。
イタリアに。
神様。
一生なんていいません。
少しの間でいいのです。
長い年月を生きてゆくでしょうこの少年の記憶にすこしでも残ってくれるだけの年月を。
「…少しでもいいから、覚えてくれてるといいな、フェリシアーノ」
数百年も、ずっと生きてゆくこの少年の心に。
「私も、きっとゆうきも、ずっときみの味方でいるからね」
この言葉が届きますように。
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