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イタちゃんが帰ってから暫くは元気が出なかった。
そんな私を心配してか、学校まで鬼道君やら円堂君やらがきてくれたり、先輩たちが異様に優しかったり、後輩が素直に甘えてきたりと大分気味の悪い目にあったものだ。
しかし、忘れてもらっては困る。
私は腐女子。
今までのイタちゃんとの生活をこの私がなんの記録にも残していないと思うか!
答えは否!
携帯にはまるまる1フォルダがイタちゃんの写真やムービーで埋まり、ほかには家庭用の大きなビデオカメラにも撮ってある!
それを見れば今までのイタちゃんとの記憶がなくなるわけではない!
まぁ、それでも。
やっぱり少し寂しくなるけれど。
きっとまた会いに着てくれるって信じてるから、こらえられる。
だからさ。
「私が行き遅れになる前に嫁にもらいに来なさいよね」
ちゅ、と手元のイタちゃんの写真に口付けた。
その後にあまりの恥ずかしさに唸ってしまったのは無かったことにしたい。
どこの少女マンガの乙女だよ畜生。
目が覚めたら、壮大な自然の中にいました。
「って、いやいやいやいや!!
ちょっとまて!思考がショートしそう!ここどこだよ?!」
青い空!
豊かな自然!
壮大な景色!
目の前に広がる景色があまりにも壮大すぎて数分間絶句した後に冒頭の言葉が脳内に浮かんだのでる。
畜生、ここどこだ。
「携帯の電波、は…繋がってませんよねそうですよね。
でも、ほかの機能は使えるのか。
畜生、PSPはないのか」
枕元においてあった携帯とこの身一つだけがここに飛ばされたようだ。
だって、私記憶にあるもん!!
自慢のふっかふかの布団に包まれて眠りについた記憶あるもん!
「あぁもう!ここどこよ!!」
「勝手に我輩の家に入っている不届き者は誰であるか!」
ダショーン!!
…は?
突然聞こえてきた罵声とともに飛んできた銃弾は私の髪を数本撒き散らしながら真横を過ぎ去った。
振り返ったその先には銃を構えたスイスさんがいらっしゃいました。
え、逆トリップ?
ちょ、王 道 ?
「夢なら覚めてくれぇぇぇえええええ!!!」
「な、突然なんなのだ!!」
こんなの、望んでないわぁぁああああああ!!!
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