「これらの原因は貴女ですね」
「何よ、どういう意味かもっと簡単に分かりやすく言ってくれないと、分からないわよ」
「端的に言います。死んでください」
「もはや端的過ぎて意味が全く分からない!」

俺は漫才をしにきたのではないが、吉屋さんは頭領とはまた違ったタイプのからかいやすさがある。暇つぶしにはなるだろう。否、決して暇な訳ではないので早速本題を語ることにする。

「ここにいる彼女のことです。心当たり、ありますよね?」

俺は結局彼女を気絶させて、吉屋さんの部屋に運んだ。吉屋さんが解毒剤を持っているとすれば、今すぐ飲ませようと思ったからだ。

「さあ、何のことかしら。言っている意味が分からないって言ってるでしょ」
「では今度こそ、端的に問います。頭領に薬を盛ったのは、貴女ですね?」
「ふん、どこにそんな証拠があるのよ。確かに私は薬を開発しているし、動機はあるかもしれないけれど、証拠がなければアタシを糾弾することは出来ないでしょ?」
「奥の手があります」
「奥の手……?」
「どうせ貴女のことだから、本来は俺に薬を盛って、頭領の信頼を崩そうと思ったのでしょう。ですが手違いか思い違いかがあって、俺ではなく頭領に薬を盛ってしまった―――それは俺の為ではなく、彼女の為。ならば」

意識がないとは言え、未だに火照っている彼女の上着を、不本意ながら荒々しく剥ぐ。それはまるで獣のように。何かに飢えているように。そして彼女の白い柔肌に、軽く俺の唇が触れる。露骨に悪い顔をしながら。

「このままだと、貴女の頭領がケダモノの俺に凌辱されますが―――それでもいいのですか?俺は本気ですよ」
「な……ッ、アンタほんと気持ち悪いわね!」
「仮に貴女が犯人じゃないとしましょう。それでも、貴女の技術なら解熱なんて簡単でしょう。さ、天才の吉屋さん。頭領を救うためにお願いしますよ」


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