ジグソーパズル | ナノ
(37ピース目)


 殺伐とした日々。

 冗談に決まっているだろと言って私を抱く細淵の冷たい唇が、悲しくって私は一晩中泣いた。
 淡々と仕事をこなし、客の誘いに乗り夜を渡り歩く。ほとんど部屋には戻らず、携帯の電源も落としたままでいる。
 一週間が過ぎ、最初の客は指名だった。
 酒が抜けきらない身体がだるかった。
 通された客の顔を見て、私はギョッとなる。
 「何をしているの?」
 「それはこっちのセリフだ」
 細渕だった。
 連絡がつかなくなった私が、店に出ているか確かめに来たらしい。
 細渕はキョロキョロと部屋を見まわし、鼻で笑う。
 「ここでやっているんだ」
 私は何も言わず、細渕の洋服をを脱がせ、むき出しになったペニスを銜える。
 「本当に真理恵は、俺のこれが好きだよな」
 私はただひたすらに顎を動かし、丹念に舌を這わせた。
 「上手くなったじゃねーか」
 細渕の息が荒々しくなり、私はそこで止める。
 「何だよ、折角気分が乗って来たのに」
 私は服を脱ぎ、湯船にお湯を張り縁に座って、にっこり微笑む。
 「お客さん、私、みどりです。ご指名ありがとうございます。どうされます? マット遊びされますか?」
 愛想笑いで言う私を見て、細渕が舌打ちを一回すると、ああ、折角だから頼むよと答える。
 ローションをたっぷり敷いたマットの上に細渕を誘い、私は丹念に、舌を細渕の全身に這わせた。逞しく跳ね上がった部分にキスをした後、深く自分を沈めて行く。思わず漏れてしまう声。細渕の手が腰に当てられ自由を奪われる。
 しおれてしまったものを握り、私は執拗以上にサービスを続けた。それは最初で最後の私の復讐だった。
 「もう無理だよ」
 ベッドに腰掛け、煙草を吹かす細渕のものをぎゅっと握りながら、酒を煽る私はそう言われても手を休めずにいた。
 「またまた、本当はもっとタフなんでしょ。顔にそう書いてあるわよ」
 どこまでも客とホステスの関係を崩さない私を見て、細渕が苦笑いをする。
 「何、怒っているんだよ」
 「あら私、怒っていないですよ。ほらそれより後残り10分。もちょっと楽しみましょうよ」
 グラスに入っていた氷を口に頬張り。そのまま細淵のものを銜える。
 「本当に真理恵、もう無理だ」
 無理やり私を引き離した細渕が、怪しむように私の目を覗き込んだ。
 それでも私は怯むことなく、細渕の膝の上に跨り、唇を合わせる。
 「ね、お客さん、オナニーしているところって見たことがある? 私、こんな商売をしているけど彼氏が冷たくってね、時々自分で慰めてやるんだ。こうやってね」
 私は自分の指を這わせ始める。
 「おまえ」
 細渕は初めて私の腕に付けられている線に気が付く。
 「寂しいけど私は平気。こうすれば静まるから」
 膝に上で尽きる私に、細渕は顔を強張らせる。

 帰り際、戸惑うよな笑みを見せた細渕が、財布から二万円だし私に渡した。

 もういい。これでもう終わりに出来る。帰っていく細渕を見送りながら、私はそう思った。
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