一人きりのクリスマスを迎え、私は携帯を握りしめている。
あれから細渕の連絡は途絶えていた。
不安をかき消すように、私は部屋に帰って来ると、浴びるように酒を飲む。休日の日は一人になることを恐れ、客とのデートを入れた。
もうどうにでもなっても良いと思っていた。
一週間たいんで細渕の連絡が入り、お金を持って行く。その理由はまちまちで、まとまった頃合いを見計らっているのだろうと、お金が入った封筒を渡しながら、私は思う。
「真理恵、寂しい思いさせてごめんな」
お金を受け取った時だけ、細渕は優しくなる。
そして、細渕からは絶対に愛撫をして来ない。
「ほら、食べたかったら食べても良いよ」
自分の一物を私に握らせ微笑む。
この人は客と同じ。
冷めた感情のまま、細渕の躰を愛撫して行く。
悔しいけど、細渕にだけ感じるエクタシー。どうにもならない欲情が絡み合う。帰ろうとする細淵に熱い口づけをするのが精いっぱいの、抵抗だった。
足取り軽く離れた場所に置いてある車に乗り込む細淵を見送り、一人部屋に戻った私は酒で大量の鎮痛剤を流し込む。
心が痛かった。
嘘だと分かっているのに、お金を渡してしまう自分が嫌で嫌で堪らないのに、その反面で細渕と繋がっていたいという感情がある。
精神的はボロボロになっていた。
ふらふらしながら、トイレで吐きつづける。
誰でも良いから救って欲しい。
それでも口にすることが出来ずに、私は店に出続ける。
そんなある日のことだった。
目の前で客が注射器を取り出し、へらへらと笑う。
「姉ちゃんも楽になるぞ」
そう言われ、私は足をすくませた。
その衝撃な事実を目の当たりにし、初めて私は目を覚ます。
細渕から電話がかかって来たのはその翌日だった。そのことを話す私に、真っ先に言ったのは、まさかやっていねーだろうなだった。
「やらないよ。廃人になんかなりたくないもん。私は陽のあたる場所を歩きたい」
やっと言えた私に、細渕は怒りを顕わにしてくる。
「何を言ってんだよ。今だってそうだろ?」
「違うよ」
「違うって?」
「好きでもない相手と寝て、男にその金を持って行かれちゃうんだよ」
細渕は黙ってしまう。
それが二人にある真実。
電話を先に切ったのは私の方だった。[
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BKM]