プロローグ  鬼の面 | ナノ







逃亡





「鴻!! このままでは……」
「……見つかるな」

二人は藩の回し者に追われ城下を逃げている。
両家からの裏切りにいち早く気づいた鴻が燕と共に逃げているのだ。

「見方が一番の敵になるなんて。心から分かり合えていたのではなかったのか。……どうしてだ」
「そんなことであろうと思った。妖怪というものは決して心を満たされることはない。分かり合えるはずなどなかったのだ」

鴻はそうは言うが、どこか悔しそう。
彼が発した言葉が本心ではないことは確か。

「菜の葉様はどうしているだろうか……」
「物思いにふけっている場合ではない。どうすれば逃げられるか考えろ」





「逃がすわけにはいきませんな」





「「!?」」






二人が振り返るとそこには青の束帯を身に着け刀を抜いた男の姿があった。





[ 8/11 ]

[*prev] [next#]
[演目]
[しおりを挟む]