nrt-novel | ナノ


(現パロ)
(むっつりスケベでへたれなイタチさん)
(とにかく下品、とにかくとんでもないので注意!)










彼氏の部屋でベッドの下のエロ本を探すなんて、もうそんな時代じゃない。時代はインターネットでしょ。

「で、どれがエロサイトへのリンクなの?」
「…!」

肩を跳ねあがらせるイタチの初心さにひっそりといやらしい笑みを浮かべる。ふふふ、図星ってことね!ノートパソコンを広げて来週の授業で必要な資料集めに勤しんでいたイタチは何も言おうとしない。すっかり固まってしまった彼のその背中は、いつも頼りがいに満ち溢れていていて大好きな大きい背中。今は何故だか無性に可愛く思えるそれの体温を求めるように、身体をぴょんと起き上がらせ襲いかかるかの如く性急にその首へ腕を回した。

イタチの家にお邪魔し、綺麗に片づけられた清潔感溢れる彼の部屋でお家デートを満喫していた私だが、こう、彼のベッドの上でぐうたらしていると邪念が次々にあふれ出る。おおよそろくでもない下品な邪念だが、愛しい愛しい彼氏のことなのだから気になって当然だ。イタチの肩に向こうに見えるのは、政治がどうだの世界情勢がどうだの、私のちっぽけな脳みそでは理解にほど遠い真っ黒の文字列。そんなものに目もくれず、私が目を光らせ気にしていたのは画面の端のお気に入り欄だった。

「あれでしょ、なんか別のサイトへのお気に入りと見せかけて実はエロサイトへのリンクとか、一つくらいあるでしょ」
「…」
「ねえねえ、教えてよお願いっ」

やたら大げさなため息をついたイタチは、「そんなこと知ってどうするんだ」といかにもすかした声で呟きをこぼす。そんなことって言われたって、ただの好奇心に決まってるじゃない。内心相当焦ってるくせに気取っちゃって可愛いなあ、とすっかり上機嫌な私はからかうように彼の顔に手を遣り、二本のシワにつつっと指を滑らせた。男の子だってお年頃だろうけど女の子っだってお年頃だ。そういうことに興味がないわけじゃない、ていうかむしろ気になってしょうがない。まして彼氏の性的嗜好を知るって大事なことだと思うの!制服フェチとかおっぱい星人とかなら、まあまだ許せる。熟女好きとかだったらちょっとショックかもしれない。もしも万が一スカト……いやいやいやいや!それはない!絶対ない!イタチに限ってそれは絶対ないでしょ!遥か彼方の方面へ飛躍を始める妄想に乗っ取られた私は振り切るように首をふる。そんな私の動きにつられて微かに揺れるイタチの艶やかな黒髪が視界に入り、遠慮なく鷲掴みにし催促のつもりで力を込めて引っ張った。

「コマチ、痛い」
「うい」
「…」
「…」
「…」
「で、どれよ?」

私の物理的な訴えもかわし、黙々と資料集めを再開しやがったイタチに釘をさす。有耶無耶にされてたまるかい。背後からイタチの身体に引っ付き、ぐいぐいと体重をかけてのしかかる。どうよどうよ胸とか当たっちゃってるんじゃないの。彼から顔が見えないことを良いことに意地の汚い笑みで口元を歪ませてしまうほど、今この状況が楽しくて仕方なかった。自分でも随分アレだとは思うが、色事にめっぽう弱いイタチを手玉にとって遊ぶのは結構面白い。

「おねがいイタチっ」
「…」
「別に幻滅したりしないから!ね?」
「…」

それからしばらく無言のせめぎあいが続き、イタチが私の体重にだいぶ前のめりになったころ、ようやく彼は折れた。イタチは無言のままマウスを持つ手を滑らせ、ある箇所にたどり着いたところで円を描くような動きを見せる。イタチの綺麗な指先にうっかり見惚れて若干遅れたがディスプレイへ視線を移してみると、ある一つのリンクの周りでポインターが動いていた。イタチからしてみればとんでもないことだろうが、私の興奮は不謹慎にもついに最高点へと達した。

「…」
「…」
「あー、……ふーん」
「…悪いか」

イタチの手に自分のそれを重ね、はやる気持ちを隠すこともなく慌てて左クリックを促してみればすぐさま画面は切り替わった、のだが。……まあその、…なんか、普通だった。至って普通のそーゆーサイトだった。イタチがとんでもないフェチのサイトを見てたらそりゃまあ幻滅なのだが、逆にこれといって特徴もないサイトだとなんか…うーん。これでちょっと癖のある嗜好のサイトだったら友達とのファミレス集会でいい話のネタになったりしたんだけどなあ。ああでも、エロサイトへのリンク名が「経済財政諮問会議2013/01/09」ってフェイクネームになってるのは天晴だわ。こんなの他の人がパソコンいじったとしても絶対クリックしないもん。

「(じーっ)」
「…ほら、これでもういいだろう。戻すぞ」
「えーだめ!」
「なんで」
「もうちょっと!」

ついにはイタチからマウスを奪い取って、彼の肩にぐりぐりと顎を押し付けながら悠々と閲覧を始める。お気に入り欄にある他のリンクをいくつかクリックしてみてそれは至って普通の小難しそうなサイトであることを確認してから、再び経済財政諮問会議に戻った。画面をスクロールする度に画面のそこかしこで乱れ動く女の人の裸体が否応なく目に飛び込んでくるので不可抗力にも見入ってしまう。美人さんだなあ。足細いなあ。おっぱいぷるんぷるんだなあ。すぐ横で顔を真っ赤にして冷や汗を流すイタチなんて全くのお構いなしに画面を凝視し続けた。いかにもいかがわしいサプリメントの広告がでかでかと表示されるページ下部にたどり着き、私はようやく右手を引っ込ませる。

「…気は済んだか」
「(コクンッ)」
「はあ…ほら、資料集めに戻るから退いてくれ」

しかし私は頑なに身体を動かそうとしない。それどころか彼の胴体に腕を巻きつけ、精一杯の力を込めて抱きしめた。

「なんか、やだ」
「は、」
「あんなナイスバディで綺麗なお姉さんのこと考えてイタチが…し、してるのかと思うと、やだ」

先ほどまでのいかにも楽しげな声音はどこへやら。すっかり不貞腐れた口ぶりでそう呟いた私は巻きつけた腕を徐々に下へと滑らせる。「こ、こら」と慌てふためいたように声を出すイタチを気にも留めず、目的のそこへやんわりと触れた。口は動かすものの腕を振り払おうとはしない彼の姿に内心しめしめとほくそ笑み、先端を優しく押しつぶすようにズボン越しに指を押し当てた。むっ。固くなってるのは私が胸をずっと押し当てたり挑発的なことをしてたから?それともたゆんたゆんのおっぱいのお姉さんたちを見たから?後者だとしたら腹が立つ。自分からエロサイト見せて!とおねだりしといて本当に勝手だが、なんか腹立つ。

「イタチ!えっちしたい!」
「な、」
「ゴムはいつものまだ残ってるよね?ちょうちょのパッケージでうすうすのやつ!」
「あ、あぁ…」
「上から二番目の引き出しの奥だっけ?」
「どうしたんだコマチ、いきなり」
「イタチをイかせられるのは私だけなんだから!」
「は、」
「とりあえず舐めてあげるからそのまま座っててね」
「いや、おいコマチ………、っ!」




(…、受け身は性に合わない、これだけは譲れないぞ)
(ぎゃー!)





なんだこれ\(^o^)/