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「#エロ」のBL小説を読む
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(はれんちです)







「…いっ」
「痛いか?」
「少し…でも、大丈夫です」
「無理はするなよ」

ゆっくりと身体の中へ入り込んでくる指の感覚に歯を食いしばる。処女ではない。ないのだけれど、私は未だこの異物感に慣れることができなかった。こんな風に扱いにくく幼稚な身体なので、扉間さまがわたしの様子を窺いながら慎重に及んでくれるのが心底ありがたい。厳格で冷淡な人だと思われがちな彼だが、こうして布団の上で抱き合うときは気遣いに満ち溢れ果てしなく優しい。そんな扉間さまに悦んでもらえるよう、すべてを受け止めたいと思いつつもどうにも身体が応えてくれない。わが身の歯がゆさに顔を顰めながら、音を立てて深呼吸を繰り返す。胸を上下させて調子を整えるさまを扉間さまは黙って見ていた。

「大分楽になってまいりました」
「そうか」

僅かに表情を緩ませた扉間さまの端正なお顔に身体がきゅうんと縮まる。わずかな痛みと共に身体をかけめぐるのは、彼の指を今この身体の中で受け止めているという女としての喜びだった。そのこと自体に何よりの快楽を覚えたわたしは、無意識に彼へと手を伸ばす。甘えたようなそぶりを察してくれた扉間さまは、片肘をわたしの頭の横に付き、静かに身体を倒した。すぐ目の前に愛しい愛しい彼のお顔。扉間さまの頭にそっと手を回し、銀灰色に光るその髪の感触を楽しむようにひっそりと指を通した。愛おしい。

と。てっきり私の調子が整うまで待ってくれているのだと油断してたところに、突然彼の親指が秘豆をこねた。その遠慮のない力加減に思わず口から悩ましげな吐息がこぼれてしまう。快楽に身悶える私の姿を黙って眺めるそのお顔の、なんと楽しげなことか。不敵に口端を持ち上げる扉間さまの笑顔に堪えきれないほどの羞恥を感じた。また私をからかって楽しんでらっしゃるのね。照れ隠しにと彼の両頬に手を添え、かぶりつくように下品な口づけを差し上げた。

「意地悪なお人ですこと」
「フッ…今さらだろう」
「そうですけど…」
「それに…」

そう言ってわたしの耳元に顔を寄せた扉間さま。彼の細やかな髪の毛が私の頬をくすぐる感触ですら愛おしくて息が止まる。

「お前はこういたぶられると大層喜ぶ…違うか?」

熟知した上での愛撫だったのか。途端に異常なほど熱を持つ顔。耳元でささやいた扉間さまのお声の艶やかさは、えも言われぬほどだった。鼓膜のみならず足の先までも震えてしまい呆然とする私を、扉間さまはさらに追い詰めるように耳たぶへ何度も口づけを降らせる。くすぐったさと紙一重の快楽に、反射的に「いや」と声が出てしまった。もちろん嫌がっているわけではない、本当はもっともっとほしいの。そう願いはするもののやはり素直になりきれず、身をねじって彼を押し返そうとするが扉間さまの力に敵うはずもなかった。

「俺の愛撫の度に良い締め付けをしてくる」
「いやぁ、あ」
「相変わらず…耳元が弱い」

小さく密やかなお声がこそばゆい。扉間さまが耳にぴったり口をつけ声を出すもんだからその快楽は尚更だ。耳元から容赦なく与えられ続ける快感に喘ぎを抑える術はない。図らずも彼の指を幾度となく締め付けてしまう自分の下半身のはしたなさに恥じて目に涙がにじむ。蝋燭だけが頼りなさげに灯る薄暗い部屋の中、脱ぎ捨てられた着物をなんとか手繰り寄せ、すこしでも気を紛らわせるかのように強く握った。

「大分湿ってきたな、コマチ」

耳への愛撫もそのままに、私の下半身に差し込まれた扉間さまの指が関節を折り曲げるようにうごめいた。肉の壁を優しく叩くようなその愛撫は、ついに私を我慢の限界へと追い込む。いつの間にか痛みはなかった。くちゅくちゅといやらしい音を伴いながら動き回る扉間さまの指。彼の骨ばった大きい手が、指が、今まさに私のいやらしいところをかき回すように愛撫しているのだと思うとそれだけで気を遣りそうになってしまう。同時に親指でこねくり回される秘豆からも存分に湧き上がる快感で口から唾液がこぼれた。

「とびらま、さまっ」
「いやらしき声だ…」
「ひゃ…ごめんなさいぃ」
「否、」
「んぅう」
「そのいやらしさがたまらない」

いやらしいと言われて尚更快感を覚える私の身体はいったいどうなっているのだろう。おぼろげになってきた意識の中でただ愛しい人の感触を求め、精一杯彼の身体を抱きしめた。背中に大きく刻まれた戦の傷跡に指を滑らせてみれば、不意に扉間さまの動きが止まった。おかしくて思わずクスリと笑みをこぼすと、仕返しと言わんばかりに中に差し込まれた指からなお一層の愛撫を寄越される。歓喜の瞬間はすぐそこ。イイところを探り当てて執拗にそこばかりを刺激する彼の指に身体が跳ねたその瞬間、扉間さまの温かな肌に胸の頂が押しつぶされるようにこすれた。

「なんだ強請りか」
「ちが、います!」
「それは残念だ」

機嫌の良さそうなお声で静かに笑う扉間様。言い返す言葉も見当たらずもう一度彼の体温を確かめるようにその背中に腕を回した。愛撫で絆されきった身体で感じる、唯一無二の温かさ。裸と裸で抱き合うことでしか得ることのできない不思議な心地よさに、「愛しています」とうっかり愛の言葉が口からこぼれた。扉間さまは滅多に見られないような慈しみあふれる眼差しをこちらに向けている。彼の切れ長な目にそぐわないその様子にめくるめく喜びを確かめながら、扉間さまのお返事を待ちわびた。

「先に一度気を遣るか?」
「…」
「…」
「フフ…もう、」




(あとは成すがままよ)