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(100000Hits Thanks! みゆさまへ)
(裏描写ちゅうい!)





泊まりがけの任務も終わり、ひとり寂しく帰路についたの真夜中のことだった。街灯が頼りなさげにぽつんと光る通りを、大した注意もせずぼんやりと歩いていたのがいけなかったのかもしれない。突然後ろに怪しい気配を感じ瞬時に振り向けば、見覚えのある赤い瞳にいとも簡単に捕らわれていた。8年ぶりのその目に、ああまさか、と思うのもつかの間、わたしは情けなくも意識を手放す。それからどうなったのか、どれくらい時間がたったのかは知らない。ふわっと浮かび上がるかのように意識を取り戻し、右頬の温かくくすぐったい感触に目を開ければ、黒い目をしたイタチがそれはそれは愛おしそうに私の頬をなでていた。

「今更何の用なの…」
「…」

それは待ちに待ったはずの再会の時なのに、わたしは喜ぶことも怒ることも出来ず、起き抜けに見たイタチのあの愛おしそうな視線を思い出して思わず目を伏せた。

何も言わずに私を力強く抱き締めるイタチが今何を考えているのか、何を意図して私を拉致したりしたのか見当もつかない。見知らぬ薄暗い部屋のはじに置かれたベッドに、毛布を肩までかけて横えられていたらしい私。人質にしてはあまりにも丁寧な扱いである。拘束具すらつけられていない自分の身体の感覚を確かめながら私は一度目を閉じた後、クナイホルスターにそっと手を伸ばした。

もしも今、イタチにこのクナイを突き刺すことが出来たのなら、わたしは里の皆に英雄だとちやほやされるのかもしれない。そしたら私もついに上忍になれるかもしれないし、お給料だって増えるかもしれない。今ここで、例え殺せずともイタチに手傷を負わせる、それが木の葉の忍としての責務なのだろう。成すべきことなのだろう。

それなのに。なんで私の右手はこれ以上動こうとしないのだろう。
ああ、私を抱きしめるイタチの温もり、私ったら痛いくらい覚えてるの。この感触もこの匂いも、あの幸せだった日々と変わることなくここにある。みるみると目の前に蘇っていく、少年と少女だった頃の思い出が私の身体を確かに蝕んで、気がつけばクナイを握るどころかホルスターの上蓋を開ける力すら消えてしまっていた。

「…コマチ」

やっと聞こえた彼の声が頭の中に何度も響き渡る。私の名を呼ぶ大好きだったその声に、こんなにもあの頃のように胸が高鳴るとは。呆れるほどに情けないと、心の中で嘲笑するしかない。私の名前を呼んで笑顔を向ける8年前のイタチの姿がおぼろげに浮かんでは一つ一つ心にしみ込んでいく。罠かもしれない、駄目だと、頭ではわかっているはずなのに、次第に溺れゆく感覚を確かに感じて思わず一筋の涙がこぼれる。

半ば自暴自棄になった気持ちで恐る恐る彼の背に腕を回した。すると今までよりもさらに強くなるイタチの抱擁に、ついには涙が次々と止め処なくあふれ出してしまって、大きく息を吸った。

「詳しいことは話せない。俺に今さらコマチを愛してるなどと口に出す資格がないことも、今おまえが俺を殺そうとした程に、自分は信用されるはずもない存在であることもわかっている」
「…」
「ただ数刻の間で良い、俺を受け入れて欲しい。強姦にはしたくないんだ」

そういって私をベッドの上に横たえ馬乗りになるイタチは、怖いくらい真っ直ぐな視線でこちらを見つめていた。いっそその瞳に吸い込まれてしまえれば、と思ったところで僅かな理性がとがめてしまう。口でならなんとでも言えると分かってる。今イタチの口から放たれた言葉の数々が心からの言葉なのか、それとも私を手込めにしたいがための出任せなのかは私に分かるはずもない。一通り遊ばれた後、用済みだと殺されるかもしれない。

ただ、ああ神様。
忍としてのプライドも、自分の命でさえもすべて投げ捨てて、彼と離れ離れだった8年の間、夢にまで見たこの幸せを掴む私の浅ましさを笑わないでほしいのです。
イタチの唇が私のそれと重なる8年ぶりの感触に、わたしは手を宙でさまよわせた後、覚悟したように目を閉じた。



*****



「初めてでは、ないんだな」

そう呟いたイタチの声音がひどく寂しげで、思わず彼の首に回していた腕を解いた。彼と私を隔てる8年間を目の当たりにした切なさに、胸の奥のあたりが締め付けられるような心地がするも、すぐに腰を動かし始めたイタチから存分に快楽を与えられて情けなくも喘ぎ声が口からとびだす。

眉間にしわを寄せながら私を求めるイタチの姿に、ふと最近まで付き合っていた男性の姿が浮かんで重なった後、すぐに儚く消え失せた。やっぱりイタチだけ、わたしはイタチじゃなきゃ駄目なの。心の中でひとしきりにそう叫ぶしかない。今の私の何もかもがイタチのことでいっぱいで、息が苦しくなる程必死に彼の唇にキスをした。

「は、ぁ…イタチ、イタチ…」
「…っん、」

腰の動きを止めたかと思いきや、突然に私の乳房にしゃぶりつくイタチ。じゅるじゅると下品な音を立てて乳首を吸うその様に酷く興奮してしまって無意識に下半身で彼のものをしめつけてしまう。それでも我慢できなくなってイタチの頭に手を回し、自分の乳房に押し付けるようにその手に力をこめるとふいにイタチがビクッと震えて、ゆるゆると再び腰を動かしだした。音を立ててぶつかり合う汗ばんだ下半身の感触にさえ、熱くこもった吐息が零れる。

静かな部屋中に響く卑猥な音に耳を犯され、しつこく吸って嘗め回すイタチの舌に乳を犯され、そして私を女として求めるが故に熱く硬くなったイタチのそれに下半身も犯されゆく。ああいや、犯されるだなんて卑劣な単語ではない。今この瞬間にどうしよもない喜びを、私はこの小さな胸でしかと感じているのだから。

「すき、すき、今でも好き、なのイタチ…っ」
「…ああ」
「イタチも、わたしのこ、と、すき…?あいしてる?」

喘ぎ声の合間、うっかり零れた私の本音に、イタチは一拍置いて戸惑うような表情をみせた。聞いてはいけないことだったと後悔するのもつかの間、ぼんやりとした懐かしさを感じる。ねえ。その顔、昔にも見たことがあるの。べったりあなたにくっついては「好き」「大好き」と思いの丈を存分にぶつけていた幼いあの頃。そのあとに自分ばかり好きなんじゃないかとふと心細くなって、「イタチもわたしのこと好き?」と尋ねると、あなたはいつも決まって困った顔をするんだ。

目の前にいるのは間違いなくあの頃好き合ってた人なんだと改めて感じると、どうしよもなく胸が締め付けられた。再び目の端から伝い落ちる涙が快楽によるものなのか、それとも喜びによるものなのかわかりもせず、中を押し広げるような刺激に堪えるようにただただイタチに爪を立てて精一杯抱きつく。

「今さら無責任だとわかっていてもこらえようがない」
「…うん」
「愛してる」

例えば13歳だった当時の私たちは好き合っていても「愛してる」だなんて大そうな言葉こっ恥ずかしくていえなかったし、こんなふうに裸と裸で抱き合ってはしたなく快楽を貪ることなんでできなかったでしょう。

イタチが里から消えたとき潰えたはずの未来が、今間違いなくわたしと彼の手の内にある。そう思うともう何もかもどうでも良くなって、私は淫らにも腰をひたすらに動かした。イタチのそれがぐりぐりと円を書くように中を刺激する快感を感じていれば、彼は私の膝裏に腕を差し込み、抱き込むように覆い被さって更に奥深く抜き差しを始めた。もはやイタチの成すがままのこの状態で、今更になって再び浮かんでくる罪悪感。懸命になって振り払おうと、彼の唇にかぶりついて舌を差し込み存分に彼のそれと絡ませた。イタチのそれの先端がぬるぬるとぬめりながら私の奥を突き続ける。上も下も粘膜同士が絡みつくその感覚に、私は今イタチとキスをしているのだ、セックスをしているのだ、と実感がぞくぞくと襲いかかる。

「ひ、あ、いくっ」

そのリアリティについにはたまらなくなり、途端に何かがわたしの中ではじけるのを感じた。登りつめるかのように感覚があっという間に高ぶり、頭の中が真っ白になった後、下半身から今までと比べ物にならないような快感が襲って身体がびくびくと震える。達してしまった。

「コマチ、」

次の瞬間、イタチのそれから性が放たれ私の中を満たしていくその独特の感覚に、とうとう私は顔が歪ませて泣くしかなかった。



Oh my god


(それは現実に引きずり戻された瞬間)
(だんだんと霞んでいく意識の中で、最期にコマチに会えて、と呟く彼の姿を必死に心に刻み込んだ)




********
暗くて裏描写少なくてごめんなさい!