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「#エロ」のBL小説を読む
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(10000Hits Thanks! 一宮さまへ)







「最近ね、イタチからメールが来るようになったの」

デイダラとサソリの伝手で知り合ったイタチと別れて、もう一年半が経ったらしい。イタチから別れを告げられて諦めきれず何度もメールをしたのは記憶に新しいが、そうか、もうそんなに時間は経ってしまったのか。イタチが好きで好きでしょうがなかったような気がする。そんな思いが空回りしてイタチに負担をかけてしまっていたと気づいたのは別れてしばらくした後だった。毎日朝から晩までメールとか、愛想を尽かされるのも道理である。初めてのお付き合いで加減がわからなかったのもあるし、きっとみんなそんなものなのかもしれない。

そして別れの後、イタチと泣きたくなるほど疎遠になるのは当たり前のことだった。同じクラスでないのは幸いだったが廊下ですれ違う度にお互いに目を合わせないよう、何も言わずにいるのがたまらなく寂しかった。もちろんすぐに新しい恋なんてできるわけもなくて、復縁したいと密かに願ったもののやはり空回り。絵文字のない短めのメールが返ってくるたびに、心が締め付けられるような思いだった。


「もしかして、脈ありなんじゃないのかい、うん」
「あはは、そうだったら良いのにね」
「でもまあ、少なくとも嫌われてはいねえってことだろ」

力なく笑う私を励ますようにデイダラとサソリが元気の出るような言葉をかけてくれるが、私はただ首を横にふる。

そう、最近イタチと再び仲良くなれたのだ。

この一年半、ひたすらにイタチを追いかけていたわけではない。誰かを好きになりかけたり、付き合ってみたり。それなりに色々な人と恋をしてみようと努力はしたつもりだった。それなのに手をつなぐ時もキスをするときも、ベッドに組み敷かれるときもふっと頭をよぎるのはイタチとの思い出。イタチはもっとこうだった、もっとああしてくれたと思い出しては罪悪感に苛まれた。自分のあまりの女々しさに嫌気がする。結局長続きしなくてコチラから別れを申し出て、今は独り身で落ち着いているところだった。

大学生になるまでは独りで落ち着いていようそうしようと心に決めてしばらく経たない内にクラス替えで彼と同じクラスに、そして隣の席になってしまうとは、全くもって神様の質の悪い悪戯にしか思えない。始めは何となく気まずい雰囲気だったものの、3年生という進路決定をまじかに控えた状況で、俺はどこの大学に行きたいだとか私はどこの学部に行きたいだとか妙に話が盛り上がったのだ。そのうち、デイダラとサソリを交えて、放課後にファミレスへ行ったりと更に距離が近くなるイタチと私。この前の全校集会でななめ後ろに座ってた女子の水色のパンツが丸見えで興奮しただの、デイダラの寒々しい下の話が飛び惑う中でさえ、ドキドキと胸が高鳴るのはまだイタチのことが好きだという立派な証拠なのだろう。

席替えをして席が離れてもたまに話しかけにきてくれる、たまにメールもしてくれる、おぼろげに記憶に残っているあの笑顔を私に向けてくれる。

それでも。

「もしもイタチにやり直したいって告白して、断られて、また気まずくなっちゃうのは嫌なの」

せっかく大好きな彼と仲良くなることができたのだ。普通の友達に戻ることができたのだ。ここで私が誤ったものなら、きっと私たちの仲は元通りになることはないのだと、そんな気がしてしょうがなくて。臆病者と後ろ指さされたって良い。キスもセックスも出来なくたって、大好きな彼と月並みに話せるこの平凡な幸せを手放したくないの。

デイダラもサソリも、なぜだか切なげに私の言葉に耳を傾けている。そんな顔しないでよったら。私は机の上に無造作に置かれた携帯を握りしめ、満面の笑みを浮かべる。

「今のまんま、イタチとは友達のまんまで良いんだあ!」







(それは十八の儚げな恋でした)




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暁夢にならなくて、下ネタが苦し紛れで、ギャグにならなくて、リクエスト通りに書けなくて本当にごめんなさいです。ゆららにはこれが限界でした