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「#エロ」のBL小説を読む
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「やい、色魔!」

「…あ?」

「ヒィ!」


しまった!ギロリと彼氏様に睨まれた私は、途端に後ずさって冷や汗を流す。さすがに変質者呼ばわりはやり過ぎだっただろうか、いやいやでもいつまでも構ってくれそうにないデイダラが悪いんだ!焦る頭でアレコレ言い訳を考えながら、デイダラが腰を上げ私の方に向かってくるのを眺めていた。無造作に床の上に置かれた粘土細工は、お澄まし顔で静かに鎮座している。

そもそも、私だって好きで彼氏を変質者呼ばわりしてるわけじゃない。デイダラがずっと粘土をコネコネしてるのが気に入らなかっただけだ。今日小南姉さんから口紅をもらったんだ!だとか、今回の任務無傷で帰ってこれたんだすごいでしょ!だとか、デイダラに話したいことはこんなにもいっぱいあるのに、デイダラと来たら真面目に話も聞いてくれなかった。何よ犯罪者の癖に芸術家気取っちゃってさあ。そんなわけでデイダラに構ってもらいたくて、必死にちょっかいを出そうと、あることないこと言い並べていたわけだけども。


「そうか、コマチはオイラを色魔だと思ってたんだな、うん」

「あ、いや何て言うか…」


しどろもどろに説明をしようとしたところ、突然デイダラが私を抱き寄せてキスをした。あまりにもいきなりのことだったせいで私は息つぎの仕方も忘れ、そのうちに酸欠でぼやぁとしてくる頭の中、必死にデイダラを受け入れる。このままじゃいけない。そう思って必死に彼の胸元を叩けば唇は解放しれくれたものの、デイダラは不機嫌そうな顔で私を見ていて。


「デイダラ怒ってる?」

「さあな」


曖昧な返事をした彼は再び私に口付ける。デイダラの舌が私の歯茎をなぞった瞬間、ゾクゾクと快感で身体が震えてしまった。どうしよう、これはきっと「オイラが本当に色魔かどうか試してみるか、うん」のパターンだ!てことはですよ、下手したらこのままえっちに流れ込むわけで、それは私的に困るわけで。

彼の身体を押し返そうとしてももちろん叶わない、成す術も無くすっかり困り果ててしまった私に対して、デイダラのキスは止まる気配がない。次第に壁へ壁へと追い込まれているのに気付いた時には、最早私は強引なキスのせいで身体に力が入らない状態だった。くちゅくちゅと二人の口元で艶かしく響く音を聞きながら、ついに壁とデイダラとで挟み込まれた。

もう逃げられない、覚悟を決めるしかない、うっすらと開けていた目をぎゅっと閉じる。例えば耳を舐められるだとか首筋を吸われるだとか、彼が次に起こしそうなことを頭に浮かべて、精一杯身構えていると。


ふわり。


「え、」


私の身体が浮いた。腰はしっかりとデイダラの手で掴まれていて、視線を下げればいたずらっぽく笑うデイダラの顔。どうやら私はデイダラに「たかいたかい」らしきようなものをされているらしい。


「ごめんな、うん」

「へ?」

「コマチはオイラに構ってもらいたかっただけなんだろ?」


何だ、ちゃんとわかってるじゃない。このまま強引に事に運ばれるのかと思いきや、予想外の展開に口をあんぐりと開ける今の私は多分不細工だろう。
だいたいこんな少女マンガのひとコマみたいなギザなことしてくれちゃって、デイダラには全然似合わないのよ。いたずらのネタバラしにわざわざこんなことする必要ないじゃない。なーんて、ただの照れ隠しだけれども。
最近太った私の身体をいとも容易く軽々と持ち上げるデイダラを見下ろして思わず頬を染める。


「デイ」

「ん?」


ちゅ。



少女マンガのひとコマみたいなギザなことをされて易々と彼を許してしまう私を、単純な奴だというならそれでも構わない。ただ、どうしようもなくあなたがいとおしくなったの。胸に溢れて全身を巡るこの思いに身を任せ、精一杯に身体を曲げて彼のおでこにキスをしてみれば、パラパラと肩から零れ落ちる私の髪。次はデイダラが呆気にとられる番だった。


「デイダラのことが大好きだー!」


耳まで真っ赤にするデイダラが色魔なわけがない。









(ぽつり置き去りになった彼の粘土細工)