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ふわふわでぽかぽか。

ふわふわの布団とサイ君のぽかぽかした体温に包まれる今の私は、きっと世界一の幸福者だ。



「ねむい…」



重いまぶたを何とか持ち上げて必死に耐える。隣で私と同じように横になるサイ君は相変わらずニコニコしてばかりで、どんな気持ちでいるのか察することはできそうにない。


「寝てもいいよ」

「うん…サイ君も寝る?ねむい?」

「そんなに眠くはないけど、コマチが寝るなら僕も寝るよ」

「じゃあサイ君も一緒にねよー」



ゆっくりとサイ君の胸に寄り添えば、赤ん坊をあやすように背中をぽんぽんと優しく叩かれて、眠気に拍車がかかる。
その心地よさにすぐさま夢の世界に引きずりこまれそうになるのを感じたが、それがなんだかとても惜しいことのように思われて、精一杯目をこじ開けようとした。


「寝ないのコマチ?」

「寝たらもったいない気がして。もっとサイ君とお話ししてたいな」

「でも、今のコマチ、ブスだよ」


半開きの目のせいで酷い顔だね、なんてクスクス笑いながら呟くサイ君は相変わらずだ。
そりゃまあ今酷い顔なのは否定しないけど、彼氏であるならそこに愛しさとか可愛らしさを見いだしてもらいたいところだ。「眠たそうにしてる顔が小さな子供みたいで萌え!」とかさ。

ずばりもの申したいのは山々だが、眠気のせいでそんな余裕はなかった。そのかわりにと思い、手のひらでサイ君の胸を叩いてみれば、彼は何で叩かれたのかさっぱりわからないようで目を丸くしていた。



「どうしたの?」

「サイ君のばーか」

「え、」

「でもだいすき」



つまり、にぶちんサイ君がいとおしくてしょうがないってこと。霞みかけた意識の中、顔をあげてサイ君を見つめ瞳で訴えかけると、私の要求を察してくれたのかふんわりとキスしてくれた。その唇の柔らかさ、温度、彼から漂う匂い。啄む度に伝わるキスの心地よさは身体中に染み込んで、さらなる眠気を誘う。

もう、限界かも。


「おやすみなさいサイ君」


そう一言呟いてからまぶたをゆっくり閉じていく。

何も構うことはない、このままおちていこう。

そう思った矢先、頭に広がる温かな感触。サイ君が私の頭を抱え、静かに撫でていてくれるが嬉しくて嬉しくて。








(朝目が覚めても変わることのない、)