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(ややはれんち)









外ではまだ太陽が燦々と輝いているのにも関わらず、カーテンを閉めた薄暗い部屋の中で私はすっかり泣きたい気分だ。
彼がいつも寝ている布団の上に全裸に近いような格好で横たわる私、そして私に覆い被さるイタチ。

彼の右手の濡れた人差し指の先は、カーテンの隙間から差し込む光でテラテラとなまめかしく光っている。端から見たらそれはそれはムードに満ち溢れた甘美なる愛の営みの真っ最中に見えるかもしれないが、当の本人たちはムードとかそれどころじゃない。


「痛いよ無理そんなの入んない!」

「入らないわけないだろう…」

「でも無理なの!すっごく痛いの!」


イタチは眉間にシワを寄せてまじまじと自分の指先を見つめてからはあとため息をついた。
そんな彼の様子に胸を締め付ける罪悪感から私は再び足を開き、もう一回してみよ、と声をかけてみる。


「いくぞ…」

「ん…」

「…」

「い、たい!」


彼は私が小さく叫び出したのに気づいて慌てて密壺に入り込もうとする指を引っ込めた。

童貞と処女だからって問題じゃないと思う。
少女漫画とか友達の話の通りなら、指は普通に入ってうまくほぐしてもらって気持ち良くなってからさあ破瓜を捧げようってなるんじゃないの。何で指をいれるのでさえ痛いの。
チラッとイタチの唾液で濡れた彼の指を見れば、それは白くて長くてとても綺麗だ。幼いころから大好きなその手を私は受け入れてあげられないだなんて、無性に悲しい。


「イタチの爪が長いから痛いんじゃない?」

「昨日爪切ったばかりだぞ」

「うー」


やっぱり私の身体が変なんだ、低いトーンでぼそっとそう呟くとイタチは酷く悲しそうな目で私を見下ろした。
それから私にゆっくり覆い被さったかと思えば背中に腕を差し込まれ、掬い上げられるかのように抱き締められる。

イタチからの温かな抱擁に応えようと彼の背中に腕を回して、キスを差し上げた。
はじめは触れあうだけのキスだったがイタチの舌が唇を割って私の口内に侵入してから次第に濃厚になるそれ。

その感覚や彼から時折溢れる甘ったるい吐息、そしてちょうど私の股間のあたりあたるイタチの熱く盛ったそれにすっかり興奮してしまい、下半身がムズムズして刺激が欲しくなる。
それでも指ですら受け入れられない矛盾した自分の身体が恨めしくてしょうがない。


「わたし、タンポンもまだだしな…」

「たんぽん…?なんだそれは」

「あーいや、なんでもない」


もう一度彼の背中に回す腕に力をこめて、ごめんね、と彼の耳元で囁いた。


「二人の問題だ…、あまり気にするな。もしかしたら俺の技術不足かもしれないしな」


今すぐじゃなくて良い、また今度だっていつだって構わないからと照れ臭そうに付け足した彼を早く受け入れたい、一緒に快楽に溺れたいと切に思った。






(後日、タンポンについて勉強してきたとイタチが少し誇らしげにしてて私は何も言えなくなった)







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