1:会

ある島を支配する海賊がいた。

その海賊達は島のすべてのモノを支配し、奪いたいものはすべて奪い、民衆はそれに恐怖した。


海賊は強く、島の人たちは反乱する度に死に行き、反抗する気力を失っていった。


助けになるはずの海軍は海賊から金をもらい、民衆に手を貸すことも無く。


人々は絶望の中の安寧に身を委ねていた。



そんな中、麦わら帽子をかぶるドクロを持つ一つの船がこの島へやってきたことで、全てを変えた。



 




私は島を支配する海賊の女船長の娘だった。


娘と言っても舐められないように男の格好をしているため、母以外だれも私を女だとは知らない。


私の記憶のある時には母はこの島に拠点を置き、非道の限りを尽くしていた。


それを私が支えていたのだが。


「よう、テメェは刀使いか?」


目の前にいる緑髪の男は右手に持った刀で、私の腰にある刀を指した。


こいつは私達の邪魔をしに来た海賊だ。


いきなり島に現れて、私達の拠点である陸につけた巨大な船へ乗り込んで、私達を倒しに来た。


海賊が人助けなど本当にふざけている。


「ああ、一応刀をメインに使っている」


私は腰に差した刀を抜いた。


すると、男はニッと笑う。


「そうか。テメェがどの程度の腕か、楽しみだ」







私達は戦った。


男が三本の刀を構えたときは笑いたくなったが、なるほど彼は強かった。


私はおそらく彼に負けるだろう。


それは数度打ち合って分かった。


けれど、私は戦った。ここを通し母の元へ行かせる訳にはいかない。



しかし。

緑頭と戦っている途中、私の耳に母の叫び声が聞こえた。


どうやらいつの間に、他の海賊達は母の元まで行っていたらしい。


どいつもこいつも使えない。


私は男の刀を弾いて、母の悲鳴が聞こえてきた甲板へと向かい走り出す。


後ろで逃げるのかと男が叫んでいるが、私は無視した。

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