雨模様 | ナノ
第33話

ハンター試験はキルアの失格によって幕を閉じた。

現在合格者は一つの部屋に集められハンター試験の合否について話し合っている。あの時のキルアは催眠状態にあったとか、キルアはレオリオの合格の手助けをしたとか、あの一件について色々な意見が飛び交う中、私はずっと俯いていた。

「1番の合格だっておかしいだろ。404番と同じ理由でな」

「………」

私の合格に疑問を持っている人もいるみたいだけど、私は自分の合格が正しい判断なのかどうかなんて心の底からどうでも良かった。

それより今はキルアだ。キルアは今どこにいる?このままお別れなんて絶対嫌だ。家に帰ったのかな?あの時キルアは「もう殺人なんてしたくない」と言っていた。このままあの家にいたらキルアはこれから先も望まない人殺しをし続けないといけないんだろうか。そんなの、悲しすぎる。どうしたらキルアを助けられる?私なんかに出来ることがあるんだろうか。相手は殺しを生業にしている大きな一族。私みたいな小娘が会いにいったところで門前払いにされてしまうのがオチだ。一人悶々としていると荒々しく扉が開きゴンが部屋の中に入ってきた。

「キルアにあやまれ」

「あやまる…?何を?」

「そんなこともわからないの?」

「うん」

「お前に兄貴の資格ないよ」

「兄弟に資格がいるのかな?」

「友達になるのにだって資格なんていらない!」

ゴンは既に事情を聞いているのか入って早々キルアのお兄さんに怒りをぶつけた。

「……っ」

キルアのお兄さんが念を発動しそうになったのを見て思わず立ち上がる。…が、ゴンも何かを感じたようで私が言うまでもなく距離をとっていた。いきなり立ち上がった私を不審に思ったのかキルアのお兄さんがこちらを向く。こういうときにサングラスは便利だ。目を逸らしてもバレないから。何事もないかのように席に座り直した。

「ここにいる8名を新しくハンターとして認定いたします!」

それからハンターのことやハンター証について色々と説明を受け、最後にこう締め括られてその場は解散となった。




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