日常 | ナノ
95日目(木曜日)

今日は花ちゃんを家に招いてのんびり過ごした。花ちゃんは職業柄、真選組とも攘夷浪士とも関わったことがあるらしくて今日はその愚痴が止まらなかった。なんでもこの間、攘夷派の人の密着取材をしたらしい。桂って言ってたけどその名前うっすらと聞き覚えがあるんだよね。……いや、うん、…いいや。思い出さないでおこう。

「もーー最悪。二度とやりたくない。疲れた。命がいくつあっても足りないわ」と机に突っ伏し、足をばたつかせる花ちゃん。取材中にバズーカーを持った真選組が突撃してきて(なんとなく誰か想像できるけどこれも深くは考えないようにしよう)その人たちから逃げるために屋根の上に登ったり、爆発に巻き込まれたりしたんだって。アナウンサー、危険すぎる。

「しかもさ、聞いて。真選組に囲まれたとき桂の野郎一人でその場から逃げたの!ちょっと助けられた部分もあったんだけど、お陰で私、攘夷浪士と勘違いされて危うくお縄につくとこだったんだよ!で、それを回避したと思ったら手紙から爆弾出てきて!死ぬかと思ったァァ!怖かったァァ」花ちゃんから語られる凄絶な状況に目眩がしてきた。よく見ると花ちゃんの手入れされた髪の一部がちりちりになっていて、ぞっとした。花ちゃん、いつか取り返しのつかない事態に巻き込まれちゃうんじゃないか。

なんだか怖くなってきて、あともう少しで花ちゃんに「あんまり危ないことしてほしくない」なんて面倒な彼女みたいなことを言いかけたけど寸前で飲み込んだ。花ちゃんは愚痴を言いながらもアナウンサーという仕事が大好きだし、誇りを持ってやっている。その活動を制限するようなことは言っちゃだめだ。「なに?珍しい顔してるね」と私の顔を覗きこむ花ちゃんに「今度、御守り作るよ。安全祈願。全力で祈るからね!花ちゃんのこと応援してる」と伝えると「あは、なにそれ。あんた時々変なスイッチ入るよね」とちょっと照れ臭そうに笑っていた。

あ、そうだ。花ちゃんから聞いたんだけど真選組の副長さんは重度のオタクらしい。今まではそんな素振り全く見せなかったのに、ここ最近人が変わったようにオタク全開で生き始めたんだって。副長ってあのマヨネーズばかり買っていく強面のお兄さんだよね?毎週マガジン買ってくし好きなのかなとは思っていたけどオタク的な好きではなさそうだったから結構意外だ。ま、好きなものをとことん突き詰めたいって思う時期もあるよね。

さ、寝よ。明日、新八くんがテレビに出るらしいから録画しなきゃな。細かいことは聞いてないけど何のテレビなんだろ。楽しみだ。




×
- ナノ -