あいまい

 こんなに痩せてガリガリなのに、いったいどこに体力があるのか。なんか、食べる量も多いし。あっ、流石にバーニングレスキューの面子と比べると、うん。少ないように感じるけど。リオもリオで、うーん。ガロと食べ比べの競争をしていたような気が。負けたような気がする。話が脱線した。とにかく、見た目以上の体力をしていた。(私の方が、あると思ってたのに)ただでさえ、バーニッシュとしての力も、うん。二人よりはあったという気持ちもあった。それが、バーニッシュじゃなくなってから逆転した。焼き立ての分厚いステーキを目の前で食べているし、私はサラダ。とてもじゃないけど、あんな脂っこいをあの量でだなんて、食べられない。
「よく食べれるね」
「あ?」
「もしかして、食いたいのか? 一口やろう」
「そうじゃなくて」
 確かに、顔へ出ていたかもしれない。けれどそういう問題じゃない。過去に一口だけ貰ったら、脂っこさで死にそうになったし。多分プロメポリスでお手軽な値段で、私が食べれるお肉はないんじゃないかと思う。
「底なしの体力お化け? なのかな、と思って」
「そういう話でも読んだのか?」
「いや、二人を見て」
「おっ、褒めてんのか?」
 どうしてゲーラ、そこで嬉しそうにするの? 私、ジト目で文句をいいたそうにいってたのに。もしかして、言葉のチョイスとかが間違ってたりとか? ありそう。だけどそういうミステイクというか、不一致があったとしたら突っ込むはず。特にゲーラが先に口を出すし。あとから、メイスが説明を挟む感じで。って、見るとメイスも妙に納得しているような感じだし。こっちの説はなさそうだ。つまり、二人の勘違い? それとも私の意思が伝わってないってこと? どっちだろう。
「違う。えっと、見た目より体力がある?」
「なんだ。失礼なヤツだな」
「人は見かけによらねぇっつーだろ? そういうこった」
(そういうことじゃ、ないと思う)
 どちらかといえば、昨夜から行われたことに文句をいいたい。足を宙に浮かばせて、スリッパをパカパカさせる。ゲーラとメイスはちゃんと服を着てるし、使ったエプロンがカウンターにかけられている。油の染みが飛んでいた。ブカブカのシャツを着た状態で、サラダをもう一口食べる。「買ったの?」と聞いたら「あぁ」続けてゲーラが「スーパーの特売日に行ったぜ」と告げてきた。どうやら、スーパーの特売日だったのらしい。(知らなかった)それで私だけ、置いてけぼりと。
「なにを買ったの?」
「色々とだ」
「そう馬鹿みてぇに買い込んだりしねぇよ。安心しろって」
「そう」
 最初の頃は、馬鹿みたいに買って大変なことになった。それがないなら、別にいい。って、そういうことじゃない。プチトマトを転がして、ゲーラの皿にあげた。
「おい。好き嫌いは良くねぇぞ」
「苦手だから、あげる」
「ったく、ケチャップは口にするのにな」
「あれは別。食感が苦手なだけだから」
「あー、だから村で育てたヤツも食えなかったのか」
「イチジクは、食ってたよな?」
「ゲーラとメイスにもあるように、私にだって好き嫌いはあるんだよ」
「ほーう」
「苦手なだけかと思ったな」
「苦手なのもある」
 って、そうじゃない。昨夜のことに関する文句が、あっ。ゲーラからジャガイモが、メイスから人参を渡される。サラダに乗ったそれを、思わず食べた。
「うん。やっぱり肉汁の染み込んだ野菜は最高だね!」
「だろ?」
「そうか」
 二人に納得させられた。追加の野菜も貰う。代わりにサラダを一部食べられたが、仕方ない。等価交換だ。お肉と一緒に焼いた野菜を食べる。やっぱり、肉汁の染み込んだのは美味しかった。


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