約束だった場所で待っていて

 壊れた高架の中で、バーニッシュの村が存続する。このためにも、色々と物資を調達せねばならない。ゲーラは向こうで、メイスはアッチ。私はコッチだ。上々の成果物をバイクに積んで、集合場所に向かう。まだ二人は着いていない。手間取ってるのか、二人はまだ着いてなかった。頼まれたものは軽いし一人で運べそうだから、とのことで三手に分かれたのが仇になったか。ぼんやりと荒野の廃墟で二人を待つ。ソファなんてない。火のエンジンを止めて、座席に座る。まだ来ないかな、まだ来ないかなと待っていたら、一台のバイクが見えた。あ、あれはメイスか。砂埃を出して、ギュッと手前でカーブを切った。サラサラと、砂嵐の残骸が顔にかかる。
「ななし。ゲーラはまだなのか?」
「うん。まだっぽい」
 そういえば「はぁ」とメイスが溜息を吐く。頭を抱えて、髪をクシャクシャと。あ、隠れた方の目が見えた。
「仕方ない。待つか」
「うん」
 当たり前だろう、という感情を抱きながら二人で待つ。そっちの成果はどうかって聞きたかったけど、ゲーラが来てからでいいや。「遠い?」と聞くと「まぁな」と返ってくる。
「距離的には、俺の方が遠いが、荷物的に重いのはゲーラの方だな」
「そう」
「そっちは、って後からでいいか。荷物がある分、スピードが落ちているんだろう」
「うん」
 それもそうか。と思いながら二人で暇を潰す。トランプは手元にない。メイスの作ったのを参考にして、火を固める。塔に馬の頭部を模した像。指で頭部を抓めるサイズにすると、チェスとやらができた。って、違う。作ったのは『チェスの駒』らしい。
「チェスのルールは知っているか?」
 無言で頭を振る。知らない。そう伝えたら、フッとメイスが笑った。「そうか」目を伏せたまま、口を開く。「なら、最初は駒の説明から始めるか」とメイスが駒を抓んだとき、ゲーラのバイクが見えた。砂埃はメイスのより落ち着いて、後ろに大きな荷物を積んでいる。
「はぁ。また今度だな」
 そういって、作った駒を片付けた。私のも、全部。「あとで燃やすよ」と火に戻すことを伝えれば「いい」「また今度の機会にするとしよう」と返される。そうなのか。だとしたら、いうことはない。ブォンと一際強い音を上げて、ゲーラのバイクが停まった。
「あー待った、よな?」
「うん」
「飽き飽きするほどにな」
「悪かったって。おかげで、大収穫だからよ」
「ナリだけはな」
「重そう」
「今回ばかりは、乗せられないぜ?」
「知ってるよ」
 自分の分も運転できるし。ゲーラが着たことを見て、バイクに乗り込む。「おい、休憩って」ゲーラが不平をいうと「時間がない」とメイスが返した。
「帰ってからにしろ」
「ちぇっ」
 議論は終わった。メイスもバイクに乗り込んで、エンジンを入れた。


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