夜と星が交わり黒になる

 キラキラと輝いた星が多くなり、三日月が空に浮かぶ。あぁ、綺麗だな。満天の空を眺めてたら。ヌッと影が現れた。
「なに」
「いや、なにしてんのかと思ってよ」
「天体観測か?」
「星を眺めてただけ」
 そういうと、二人が「ふぅん」と返してきた。せっかく、人が良い気分になってたというのに。二人のおかげで台無しである。「見えない」といえば「そうかよ」とゲーラが返してきた。メイスの長い髪が、さらに視界を隠す。
「見張りなら、ちゃんとやってるよ」
「出入口付近でも充分だぜ?」
「それと、ここは喫煙ルームにもなるな」
「空の下なのに?」
「物は言い様ってことだ」
「それとも、お前も吸いに来たのか?」
「違う」
 吸い始めるゲーラに即答する。メイスが座ったと思ったら、ゲーラが煙草を咥えていた。「ライターは」と聞くと、ボッと指から火を出る。「予備としてでしか使わんな」とメイスが返した。完全に寛ぐ体勢である。クリアな視界が、紫煙でぼやけてしまった。
「邪魔」
「邪魔じゃねぇだろ」
「一人より三人でいた方が気が楽だろう」
(一人で見たかった気分なのに)
 けど、厚意を無碍にするわけにはいかない。パタパタと手で煙を追い払う。吐いた煙が逆流したからか「ゲホッ」と二人が小さく咳をした。
「扇ぐんじゃねぇよ。噎せちまうだろうが」
「今はそんな気分じゃないんだがな」
「どんな気分?」
「複数の煙草を吸う気分だ」
(どんな気分だ)
 ジトっとした視線に顔を向ければ、ゲーラが見ていた。
「なぁに」
「別に。なんともねぇよ」
 そういう割には、人の口に指を突っ込んでグリグリいってる。ゲーラの親指が、唇の端を伸ばして頬を伸ばしてくる。「ひひゃひ」と伝えれば「プッ」と横でメイスが笑った。
「はひ」
「いや、ちょっと可笑しくてな」
「笑い事じゃねぇよ。メイス」
 といいつつも、やめてくれなかった。


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