火で火傷

「アッチ!」
 声が聞こえたな、と思ったらゲーラが焚き火の中に手を突っ込んでいた。昔の癖なんだろう。フーフーと息を吹きかけるゲーラに軽く呆れた。
「ばぁか」
「ばっ、馬鹿っていうこたぁねぇだろ!?」
「だが、早めに手当てをした方がいいぞ」
「そうだ、お前の分は僕たちが見ててやるから、冷やしてこい」
 ななし、といってボスに目配りをされる。しょうがない。ゲーラの手を掴んでその場を離れた。
「お、い!」
「もうバーニッシュじゃないのに。簡単に触ったら火傷することくらい、わかるじゃない」
 バーニングレスキュー隊でも、火の恐ろしさは充分に教わったはずなのに。そういいながら、蛇口を捻る。ゲーラはなにもいわない。黙るゲーラの手首を掴み、無理やり水に触らせる。
「い、てっ!」
「服に燃え移ったら、もっと酷いことになってた。前みたいに、燃やせば元気になるんじゃないんだよ」
 最悪死ぬし。そう呟いたら、なにもいわれなくなった。黙るゲーラに続けていう。
「プロメアの声は、もう聞こえない」
「知ってらぁ」
「もうプロメアが守ることもないんだから、火の扱いには充分に気を付けて」
 ゲーラ、たまに昔みたいに無茶することあるから。そう付け加えると、ゲーラは複雑そうな顔をした。それにどう答えればいいかわからない。俯くと掻っ攫うようにキスをされた。
「先に戻ってるわ」
 そういって焚き火に戻るゲーラに、どういう顔をすればいいかわからなかった。


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