ある日の帰り道(本編前)

 古びたDVDプレイヤーを見つける。でも、どうやら電気がないと駄目なようだった。「雷を出すにしても、その前に萌えちまうからな」「その前に出すのに苦労するだろう。バッテリーも要る」「色々な問題」とりあえず、これは使えないらしい。元の場所にポイッと返した。
「こういうのは、ダメってこと?」
「ダメじゃねぇけど、今は使えねぇってこった」
「発電機があれば話は別だが。それにしても、DVDやBlu‐rayを揃える必要があるだろう」
「なかったよ」
「んじゃ、ダメだな」
「子どもたちをぬか喜びさせる。村に、修正できるヤツがいれば話は別だが」
「そうは簡単じゃない?」
「そーいうこった」
「ふぅん」
「まっ、これだけあれば充分だろう。下見に行った帰りにしてはな」
 といって、メイスがバーニッシュサイクルを作り出す。次の襲撃場所の下見だ。囚われたバーニッシュを救うついでに、フリーズフォースから物資を頂く。村を維持するのも楽じゃない、という話だ。人口が増えれば増えるほど、必要な資材も増えていく。(ボスも、頑張って集めてはいるけど)それでも、持続的に生活を続けるには困難だ。ギュッとゲーラの身体にしがみ付く。
「なんだ、どうした?」
「んー」
「疲れているんだろう。そっとしておけ」
「この状態で『そっとしておけ』といわれてもね」
 ガタンとマイアミが揺れる。こんな凸凹の道で、静かに走れというのが無理な話だ。シートベルトとレバーの代わりに、ギュッとゲーラの腰にしがみ付く。ビュンビュンと風が当たった。(私も、サングラスをした方がいいかな)でも構造が分からない。メイスやゲーラみたいに、すぐに作れるわけでもなかった。(でも)どこかで拾うか買うのなら、有りかも?
(今度、探してみようかな)
 でも、どこにあるんだろう。後ろでガタガタ荷物が揺れる。下見をした場所からの追跡は、ないようだ。荒野の丘やサボテンの物影にも、誰もいない。
 なにもない荒野を走る。村がある砂漠に着くまで、まだ時間がかかりそうだ。


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