クソ暑いから出たくない(消火後)

 ガンガンと冷房をかける。プロメポリスに植物は少ない。コンクリートと煉瓦やビルで作られた街だ。熱気も想像以上となる。──バーニッシュの炎に耐えきれるよう道路を補強したとしても、蜃気楼の湯気が立つ──。外は灼熱地獄だった。
「出たくない」
 ソファに寝転がるななしがそう呟く。エアコンの風がちょうど当たる場所だ。冷気がガンガンと身体に当たる。涼しいものの、身体が変に暑かったり寒かったりする──体調を崩す気配のあるななしに、ゲーラがブランケットを持ってきた。
「そりゃそうだろ」
 そういいつつ、身体に被せてやる。肩から腹部にかけて、ななしの身体が隠される。その手近な端を引き寄せて、ななしは体勢を変えた。「ありがとう」礼をいって、ブランケットに全身を隠す。
「だからといって、こうも暑いとな」
 キッチンからメイスが出てきた。手には食べ物と飲み物を持っている。ポップコーンを置くと、寝転がるななしの肩を叩いた。
「寝るならベッドにしておけ」
「冷蔵庫の一番当たる場所がいい」
「エアコンだろ。このままじゃ、座る場所がねぇぞ」
 ゲーラはリオ特等席、一人掛けのソファに座っている。一方、メイスは立ちっ放しだ。「もう」といいながらななしが起き上がる。ブランケットを肩から被ったまま、ななしは真ん中に座った。
「どーぞ」
 ちょこん、と。両端に座るスペースがある。無意識の起こした結果に、ゲーラとメイスは唖然とした。「お、おう」先にゲーラが我に返る。続けて、メイスも状況を理解した。ななしは知らずにやっている、と。「あ、あぁ。そうだな」とだけ頷く。この二人の様子は、今に始まったことではない。また呆けてたことに、ななしは呆れた。「もう」頬を膨らませて態度に出す。「お前のせいだぞ」とは、言いたくても言えなかった。


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